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せん角群島問題 台湾青年局が抗議/ 晴天白日旗の撤去で
原文表記
せん角群島問題 台湾青年局が抗議 晴天白日旗の撤去で
外務省は当然の措置と評價
南西新報 昭和四十五年九月十九日
外務省は琉球警察本部がこのほどせん閣群島魚釣島に掲げた国府の晴天白日旗を撤去したことは、日本の領有権が明白なことから当然の措置と受けとめている一方、中国青年局はこの行為は国府の権利を侵害するものだと抗議の意を表明しており、せん閣群島の領有権問題は複雑な様相をみせ今後の成行が注目されている。
せん閣群島の領有権問題は同群島の魚釣島に台湾省水産試験所の海憲丸が報道人を便乗させ国府の国旗晴天白日旗を掲揚したことでこれを重視した琉球政府警察署本部は急拠救難艇「ちとせ」を現場に派遣、これを撤去して持ち帰つたことから問題は今後ますます複雑化する様相をみせているこれについて外務省は公式な論評をさけているが、せん閣群島に対する日本の領有権が明白である以上今回の琉球警察のとつた措置は当然だとしている。
又近く始まる同群島に関する国府との話し合いについても国府はこれまで公式に同群島の領有権を主張したことはないし、わが国もあくまで大陸ダナ資源の開発問題にしぼつて折衝する方針なので今回の措置が国府との折衝に影響を与えないとみている。
政府として板垣駐国府大使が今月二十九日帰任するのを待つて同群島周辺の大陸ダナ資源開発問題について話し合いにはいる方針だとその見解を表明した。
しかし一方国府側のキ道明外相は、立法院の秘密会で「同群島の五ツの島は国府に帰属する」と証言、さらに去る八月二十一日には急きょ大陸ダナ条約を批准し国府の主張に法的根拠を与えようとしている。
また国府監察院の五人の委員が「せん閣群島附近の大陸ダナは国府領土の自然の延長であつて、しかも国府は六九年七月に領海に隣接する海底の天然資源開発の意図を公表し米資系の日本法人石油会社、パシフイツク・ガルフ社と試掘契約を結んだ」と動議を提出、同群島及びその領海内の海底主権を強調している。
したがつて来月話し合われる国府との大陸ダナの資源開発問題も同群島の領有権問題とからみ合わせてくることは必至とみられ、話し合いは難航するものとみられる。
一方、国府の中国青年局は、きのう琉球警察本部がこのほど魚釣島に掲揚してあつた国府の国旗「晴天白日旗」を撤去、持ち帰つたことに関し、これはわが国(国府)の権利を侵害するものであり、国府は漁民の権利を守るうえからも断固抗議するとの声明を発表していると伝えられ、せん閣群島をめぐる領有権問題は新らたな段階に発展する公算がこくなつてきた。
現代仮名遣い表記
せん閣群島問題 台湾青年局が抗議 晴天白日旗の撤去で
外務省は当然の措置と評価
南西新報 昭和四十五年九月十九日
外務省は琉球警察本部がこのほどせん閣群島魚釣島に掲げた国府の晴天白日旗を撤去したことは、日本の領有権が明白なことから当然の措置と受けとめている一方、中国青年局はこの行為は国府の権利を侵害するものだと抗議の意を表明しており、せん閣群島の領有権問題は複雑な様相をみせ今後の成行が注目されている。
せん閣群島の領有権問題は、同群島の魚釣島に台湾省水産試験所の海憲丸が報道人を便乗させ国府の国旗晴天白日旗を掲揚したことで、これを重視した琉球政府警察署本部は急拠救難艇「ちとせ」を現場に派遣、これを撤去して持ち帰ったことから、問題は今後ますます複雑化する様相をみせている。これについて外務省は公式な論評をさけているが、せん閣群島に対する日本の領有権が明白である以上今回の琉球警察のとった措置は当然だとしている。
又近く始まる同群島に関する国府との話し合いについても、国府はこれまで公式に同群島の領有権を主張したことはないし、わが国もあくまで大陸ダナ資源の開発問題にしぼって折衝する方針なので、今回の措置が国府との折衝に影響を与えないとみている。
政府として板垣駐国府大使が今月二十九日帰任するのを待って、同群島周辺の大陸ダナ資源開発問題について話し合いにはいる方針だとその見解を表明した。
しかし一方国府側のキ道明外相は、立法院の秘密会で「同群島の五ツの島は国府に帰属する」と証言、さらに去る八月二十一日には急きょ大陸ダナ条約を批准し、国府の主張に法的根拠を与えようとしている。
また国府監察院の五人の委員が「せん閣群島附近の大陸ダナは国府領土の自然の延長であって、しかも国府は六九年七月に領海に隣接する海底の天然資源開発の意図を公表し、米資系の日本法人石油会社、パシフィック・ガルフ社と試掘契約を結んだ」と動議を提出、同群島及びその領海内の海底主権を強調している。
したがって来月話し合われる国府との大陸ダナの資源開発問題も同群島の領有権問題とからみ合わせてくることは必至とみられ、話し合いは難航するものとみられる。
一方、国府の中国青年局は、きのう琉球警察本部がこのほど魚釣島に掲揚してあった国府の国旗「晴天白日旗」を撤去、持ち帰ったことに関し、これはわが国(国府)の権利を侵害するものであり、国府は漁民の権利を守るうえからも断固抗議するとの声明を発表していると伝えられ、せん閣群島をめぐる領有権問題は新らたな段階に発展する公算がこくなってきた。