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せん閣問題 領有権の論争/ 日本と今後も続行

掲載年月日:1970/9/13(日) 昭和45年
メディア:南西新報 1面 種別:記事

原文表記

せん閣問題 領有権の論争 日本と今後も続行
南西新報 昭和四十五年九月十三日

 せん閣油田問題は国府が去る七月、パシフイツク・ガルフ社に対し、一方的にせん閣列島周辺の大陸だなの資源探索権を与えたことによつて、せん閣列島問題が表面化したが、その後、国府の台湾省水産試験所所有の海憲丸が、九月二日午前、せん閣列島最大の魚釣島に晴天白日旗を立て、国府の有力紙がこれを大きく報道したのをはじめ、国府のき外相が、立法院で「せん閣列島の五つの島は国府に帰属する」と証言したことが報道されるなど、にわかに領土問題の様相を帯びてきた
 このため外務省は、板垣大使を通じて国府側に大陸だな問題について外交折衝による解決を申し入れるとともに、対国府折衝に臨む態度を固め出した。
さらに国府外相は、国連総会出席のため、ニユーヨークに向つたが出発に先立ち記者会見で、せん閣列島問題について、日本との論争は今後も続けると次のように語つた。
 せん閣列島および台湾北部の大陸ダナの天然資源開発について、われわれは日本の主張に同意できないしすでにこの旨を日本側に通告してある。
 日本政府は同問題で十月初めに、われわれと話し合う準備をしており、われわれは日本側との意見交換に応ずる考えである。会談はおそらく台北で開かれよう
 国府側のこの意見に対し愛知外相は日本の領有権については、琉球政府の領有宣言や、米国務省スポークスマン、マクロスキー氏の言明を待つまでもなく、平和条約第三条によつて現在北緯二九度以南の南西諸島(せん閣列島を含む)にわが国の施政権が及んでいないとはいえ、歴史的にみて同列島がわが国の領土であることは明白な事実であると言明、さらに「いかなる政府とも同列島の領有問題で交渉する筋合いはない」と強調している。したがつて尖閣列島で国府側と折衝すべき問題は「大陸ダナの資源開発」に限定されるというのが日本政府の基本的な態度である
 日本はまだ大陸だな条約に加盟していないが、二国間にまたがる大陸だな開発について争いがある場合は関係当事国で話し合いによつて解決するというのが同条約の精神であり、今回の国府との話し合いもこの国際法の理念に沿つたものだとしている。

現代仮名遣い表記

せん閣問題 領有権の論争 日本と今後も続行
南西新報 昭和四十五年九月十三日

 せん閣油田問題は国府が去る七月、パシフィック・ガルフ社に対し、一方的にせん閣列島周辺の大陸だなの資源探索権を与えたことによって、せん閣列島問題が表面化したが、その後、国府の台湾省水産試験所所有の海憲丸が、九月二日午前、せん閣列島最大の魚釣島に晴天白日旗を立て、国府の有力紙がこれを大きく報道したのをはじめ、国府のき外相が、立法院で「せん閣列島の五つの島は国府に帰属する」と証言したことが報道されるなど、にわかに領土問題の様相を帯びてきた
 このため外務省は、板垣大使を通じて国府側に大陸だな問題について外交折衝による解決を申し入れるとともに、対国府折衝に臨む態度を固め出した。
さらに国府外相は、国連総会出席のため、ニューヨークに向ったが出発に先立ち記者会見で、せん閣列島問題について、日本との論争は今後も続けると次のように語った。
 せん閣列島および台湾北部の大陸ダナの天然資源開発について、われわれは日本の主張に同意できないし、すでにこの旨を日本側に通告してある。
 日本政府は同問題で十月初めに、われわれと話し合う準備をしており、われわれは日本側との意見交換に応ずる考えである。会談はおそらく台北で開かれよう。
 国府側のこの意見に対し愛知外相は、日本の領有権については、琉球政府の領有宣言や、米国務省スポークスマン、マクロスキー氏の言明を待つまでもなく、平和条約第三条によって現在北緯二九度以南の南西諸島(せん閣列島を含む)にわが国の施政権が及んでいないとはいえ、歴史的にみて同列島がわが国の領土であることは明白な事実であると言明、さらに「いかなる政府とも同列島の領有問題で交渉する筋合いはない」と強調している。したがって尖閣列島で国府側と折衝すべき問題は「大陸ダナの資源開発」に限定されるというのが日本政府の基本的な態度である
 日本はまだ大陸だな条約に加盟していないが、二国間にまたがる大陸だな開発について争いがある場合は関係当事国で話し合いによって解決するというのが同条約の精神であり、今回の国府との話し合いもこの国際法の理念に沿ったものだとしている。