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きょう与那国へ 吉岡公使ら一行来島 

掲載年月日:1970/9/12(土) 昭和45年
メディア:南西新報 2面 種別:記事

原文表記

きょう与那国へ 吉岡公使ら一行来島 
台湾漁船不法入域問題などの調査 せん閣群島石油資源とも関連
南西新報 昭和四十五年九月十二日

台湾漁船の与那国近海、せん閣群島への不法入城などの実情調査のため、復帰準備委員会の吉岡公使ら一行三人が十一日来島、十二日与那国へ向うことになつた。
 本土政府は台湾漁船の与那国近海への不法入域、石油資源の発見、開発で脚光を浴びているせん閣群島への侵害行為を重視、復帰準備委員会の吉岡一郎公使(外務省)、中山順一一等書記官(同)、福沢為雄二等海佐(海上保安庁)ら一行三人を派遣することになり十一日同準備委の玉木重雄顧問代理補佐官、国吉真昭同主任調査官、警本の玉代勢正昭警視らの案内で空路来島した。
 吉岡公使らは直ちに地方庁で宮良地方庁長から八重山の概況説明を受けた後、せん閣群島の位置、面積、行政区域上の諸問題について質問したほか、八重山の玉村署長から台湾漁船の不法入域、領海侵犯に対する取り締上の問題点などについて聞いた。
 また、一向は八重山民政官府、竹富町、石垣市、八重山署を訪れ来島のあいさつを済ませた後、バンナースカイライン、水産研究所を視察した。十二日は港湾沖缶、土地改良事業、農試場などを回り、午後十二時二十五分与那国向け出発する。
 吉岡公使らの今回の与那国視察は、沖繩・北方対策庁がこのほど、国の出先機関の一つとして復帰後の沖繩に第十一管区海上保安部の設置構想を打ち出した直後でもあり、日本の最南端で台湾と向い合う与那国近海における台湾漁船の不法入域問題は国の威信にもかかる大切な問題となつてくるため、事前に実情調査を行うことになつたものとみられている。
 さらに最近は、石油資源の開発をめぐり国府側が鉱業権をガルフ社に与えたうえ、大陸棚を含む領有権まで主張、日本政府と対立する状態にあることから、近く開始される予定の外交交渉に備えて与那国近海、せん閣群島に対する国府側の種々の侵害行為について事実関係、実情調査の必要に迫られてのことだとも受け取られている。

現代仮名遣い表記

きょう与那国へ 吉岡公使ら一行来島 
台湾漁船不法入域問題などの調査 せん閣群島石油資源とも関連
南西新報 昭和四十五年九月十二日

台湾漁船の与那国近海、せん閣群島への不法入域などの実情調査のため、復帰準備委員会の吉岡公使ら一行三人が十一日来島、十二日与那国へ向うことになった。
 本土政府は台湾漁船の与那国近海への不法入域、石油資源の発見、開発で脚光を浴びているせん閣群島への侵害行為を重視、復帰準備委員会の吉岡一郎公使(外務省)、中山順一一等書記官(同)、福沢為雄二等海佐(海上保安庁)ら一行三人を派遣することになり、十一日同準備委の玉木重雄顧問代理補佐官、国吉真昭同主任調査官、警本の玉代勢正昭警視らの案内で空路来島した。
 吉岡公使らは直ちに地方庁で宮良地方庁長から八重山の概況説明を受けた後、せん閣群島の位置、面積、行政区域上の諸問題について質問したほか、八重山の玉村署長から台湾漁船の不法入域、領海侵犯に対する取り締上の問題点などについて聞いた。
 また、一向は八重山民政官府、竹富町、石垣市、八重山署を訪れ来島のあいさつを済ませた後、バンナースカイライン、水産研究所を視察した。十二日は港湾沖缶、土地改良事業、農試場などを回り、午後十二時二十五分与那国向け出発する。
 吉岡公使らの今回の与那国視察は、沖縄・北方対策庁がこのほど、国の出先機関の一つとして復帰後の沖縄に第十一管区海上保安部の設置構想を打ち出した直後でもあり、日本の最南端で台湾と向い合う与那国近海における台湾漁船の不法入域問題は国の威信にもかかる大切な問題となってくるため、事前に実情調査を行うことになったものとみられている。
 さらに最近は、石油資源の開発をめぐり、国府側が鉱業権をガルフ社に与えたうえ、大陸棚を含む領有権まで主張、日本政府と対立する状態にあることから、近く開始される予定の外交交渉に備えて与那国近海、せん閣群島に対する国府側の種々の侵害行為について事実関係、実情調査の必要に迫られてのことだとも受け取られている。