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何らかの意思表示へ/ せん閣群島石油資源を守る会
原文表記
何らかの意思表示へ せん閣群島石油資源を守る会
南西新報 昭和四十五年九月八日
せん閣群島の石油資源開発問題は、先に国民政府がパシフイツク・ガルフ社に石油資源探鉱権を与え、同島の領有権を主張したことから、せん閣群島をめぐる領土、領海問題は国際的な外交問題としてクローズアツプされてきた。
また、最近になつて国府側はマスコミ関係者を同道して同群島魚釣島に調査団を送り、国旗を掲揚して「万才」を叫んでいる模様がテレビで放送された―という情報が伝えられるなど同群島をめぐる動きに八重山の石油資源開発促進協議会(桃原用永会長)では神経をとがらせている。
こうしたことから同開発促進協議会では近いうちに会合を開き、琉球政府に領有権宣言をさせるか、外交ルートにのせてしかべき対応策をとるなど何らかの意思表示をすべきだとしている。
一方、この問題を重視した外務省でも国府に対し「国府が一方的に探索権を与えても国際法上無効である」と通告すると共に板垣駐国府大使を通じて大陸棚問題は当事国間の外交折衝によつて解決すべきであるという態度をとつているが、国府側との話し合いは十月以降になるのではないかと言われている。
最近、国府側が魚釣島に調査団を送つたという情報が事実だとすれば、日本側との外交折衝に備えての意識的な既成事実の積み重ねで交渉を有利にしようとしてのことだとも推測され、これまでの台湾漁船の度重なる不法入減も既成事実として、国府側の主張を助けることになつてくる。
また、日本政府では吉岡一郎公使ら三人を与那国に派遣することになり、同公使は七日琉球出入管理庁、警察本部の関係者ら五人と共に那覇から直接、与那国に渡ることになつているが天候不順で南西航空が欠航したため与那国行が延びているが、同公使の派遣は今のところ目的が明らかにされていないものの、せん閣群島をめぐる国府との外交折衝に備えて情報収集に乗り出したのではないかとみられ、無人のせん閣群島をめぐる問題は次第に波が高くなつてきた。
現代仮名遣い表記
何らかの意思表示へ せん閣群島石油資源を守る会
南西新報 昭和四十五年九月八日
せん閣群島の石油資源開発問題は、先に国民政府がパシフィック・ガルフ社に石油資源探鉱権を与え、同島の領有権を主張したことから、せん閣群島をめぐる領土、領海問題は国際的な外交問題としてクローズアップされてきた。
また、最近になって、国府側はマスコミ関係者を同道して同群島魚釣島に調査団を送り、国旗を掲揚して「万才」を叫んでいる模様がテレビで放送された―という情報が伝えられるなど、同群島をめぐる動きに八重山の石油資源開発促進協議会(桃原用永会長)では神経をとがらせている。
こうしたことから同開発促進協議会では、近いうちに会合を開き、琉球政府に領有権宣言をさせるか、外交ルートにのせてしかるべき対応策をとるなど何らかの意思表示をすべきだとしている。
一方、この問題を重視した外務省でも国府に対し「国府が一方的に探索権を与えても国際法上無効である」と通告すると共に板垣駐国府大使を通じて大陸棚問題は当事国間の外交折衝によって解決すべきであるという態度をとっているが、国府側との話し合いは十月以降になるのではないかと言われている。
最近、国府側が魚釣島に調査団を送ったという情報が事実だとすれば、日本側との外交折衝に備えての意識的な既成事実の積み重ねで交渉を有利にしようとしてのことだとも推測され、これまでの台湾漁船の度重なる不法入域も既成事実として、国府側の主張を助けることになってくる。
また、日本政府では吉岡一郎公使ら三人を与那国に派遣することになり、同公使は七日琉球出入管理庁、警察本部の関係者ら五人と共に那覇から直接、与那国に渡ることになっているが、天候不順で南西航空が欠航したため与那国行が延びているが、同公使の派遣は今のところ目的が明らかにされていないものの、せん閣群島をめぐる国府との外交折衝に備えて情報収集に乗り出したのではないかとみられ、無人のせん閣群島をめぐる問題は次第に波が高くなってきた。