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せん閣群島 石油資源の領有問題   / 沖縄返還と微妙にからむ?

掲載年月日:1970/9/6(日) 昭和45年
メディア:南西新報 1面 種別:記事

原文表記

せん閣群島 石油資源の領有問題 沖縄返還と微妙にからむ?
 国府側との話し合い十月以降
南西新報 昭和四十五年九月六日

せん閣群島の石油資源開発問題で国府(台湾)側が採くつ権、領有権問題など主張しているところから本土政府は当事者国間の話し合いによる解決を申し入れたが十月頃に予定される国府側との話し合いのなかには七二年の沖繩返還問題とからみ海域の防衛問題など微妙にからんでくるのではないかと話し合いのなり行きが注目されている。
 せん閣群島の石油資源開発問題は約二万五千件の鉱業権設定出願が現在琉球政府通産局に提出されているが、最近になつて国府(台湾)が日本法人のパシフイツク・ガルフ社に石油資源探鉱権を与え、領有権を主張したことで、せん閣群島をめぐる領土、領海問題が外交問題として表面化している。一方石垣市の石油資源を守る会では、本土政府や石油企業、米石油資本に沖繩県民の財産が侵害されないよう権益を主張し、地元の鉱業権出願者の利権を擁護するため運動を展開している。
 これについて本土政府は「国府が一方的に探索権を与えても国際法上無効である」と通告するとともに、大陸棚問題はあくまで当事■間の外交折衝によつて解決すべきだとの態度をとつてきた。
 この通告に対し国府はせん閣群島周辺の大陸棚問題を話し合いによつて解決することに原則的に合意した   これは板垣駐国府大使が沈剣国府外務次官に東支那海の大陸棚問題について話し合いをしたい旨申し入れたのに対し、国府側が同意したものである。
 外務省としてはさらに板垣大使から国府側の真意などについて報告をきくとともに、通産、農林など関係各省と対国府折衝に臨む方針であるが、国府との話し合い開始は十月以降になるものと見られている。しかし、一方米国政府にもこのせん閣群島の領有、大陸棚問題について要請しているが日米台湾三政府のせん閣群島の話し合いについては、同海域の防衛問題など七二年の沖繩返還問題に微妙にからんでくるのではないかと国府側との話し合いが注目されている。

現代仮名遣い表記

せん閣群島 石油資源の領有問題 沖縄返還と微妙にからむ?
 国府側との話し合い十月以降
南西新報 昭和四十五年九月六日

せん閣群島の石油資源開発問題で国府(台湾)側が採くつ権、領有権問題など主張しているところから、本土政府は当事者国間の話し合いによる解決を申し入れたが、十月頃に予定される国府側との話し合いのなかには、七二年の沖縄返還問題とからみ、海域の防衛問題など微妙にからんでくるのではないかと話し合いのなり行きが注目されている。
 せん閣群島の石油資源開発問題は約二万五千件の鉱業権設定出願が現在琉球政府通産局に提出されているが、最近になって国府(台湾)が日本法人のパシフィック・ガルフ社に石油資源探鉱権を与え、領有権を主張したことで、せん閣群島をめぐる領土、領海問題が外交問題として表面化している。一方石垣市の石油資源を守る会では、本土政府や石油企業、米石油資本に沖縄県民の財産が侵害されないよう権益を主張し、地元の鉱業権出願者の利権を擁護するため運動を展開している。
 これについて本土政府は「国府が一方的に探索権を与えても国際法上無効である」と通告するとともに、大陸棚問題はあくまで当事■間の外交折衝によって解決すべきだとの態度をとってきた。
 この通告に対し国府はせん閣群島周辺の大陸棚問題を話し合いによって解決することに原則的に合意した。これは板垣駐国府大使が沈剣国府外務次官に東支那海の大陸棚問題について話し合いをしたい旨申し入れたのに対し、国府側が同意したものである。
 外務省としてはさらに板垣大使から国府側の真意などについて報告をきくとともに、通産、農林など関係各省と対国府折衝に臨む方針であるが、国府との話し合い開始は十月以降になるものと見られている。しかし、一方米国政府にもこのせん閣群島の領有、大陸棚問題について要請しているが、日米台湾三政府のせん閣群島の話し合いについては、同海域の防衛問題など七二年の沖縄返還問題に微妙にからんでくるのではないかと国府側との話し合いが注目されている。