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記者席 列島と群島の間違い

掲載年月日:1969/5/11(日) 昭和44年
メディア:南西新報 2面 種別:記事

原文表記

記者席 列島と群島の間違い
南西新報 昭和四十四年五月十一日

○…きのう市役所ではせん閣群島の標識と終戦直前に遭難した人々の慰霊塔建立のため市長や関係市議慰族代表、報道関係者等が大挙渡島したため来客の何時も多い市長室もガランとしていた。
管財課の浦本係長は、市長及び市職員の今回の出張先について「せん閣列島」か「せん閣群島」かということで疑議を持ち出し列島でなく群島であると判断、戦前の軍事秘密と明記された地図まで持ち出し調べた結果せん閣群島であることが確認され、大喜びーところが何故列島と間違つた呼称がなされたかということになつたが結局新聞報道の間違いがその原因だということになつた。
十日付の琉球新報・沖繩タイムスにも大きな見出しでせん閣列島と記載されておりそれに準じて地元紙もこれまで列島と呼称―八重山の地元の新聞からでも正しくせん閣群島と報道してくれということになつた。
○…キビ価格の政府補助が補正予算に計上されていないため政府告示の含蜜糖トン当り一九度のキビ値段は一六ドル六五セント支払うことは出来ず十二ドルに既決予算の一ドル二十セントを含めて十三ドル二十セントしか出来ないということで東部西表の農民は不安を感じていると大原の花原安祐・古見の吉みね美好の両町議古見竹富農協長等が地方庁に陳情したが宮良地方庁長「政府は含蜜地域の安定補助金として補正予算で十一万ドル新年度予算で三十九万ドル計五十万ドルで間違いなく支払いをするので心配しないで貰いたい」と確答し「会社側が生産費高や砂糖価格の変動を理由に云々することは当らない」と説得していた。

現代仮名遣い表記

記者席 列島と群島の間違い
南西新報 昭和四十四年五月十一日

○…きのう市役所ではせん閣群島の標識と終戦直前に遭難した人々の慰霊塔建立のため市長や関係市議、慰族代表、報道関係者等が大挙渡島したため、来客の何時も多い市長室もガランとしていた。
管財課の浦本係長は、市長及び市職員の今回の出張先について「せん閣列島」か「せん閣群島」かということで疑議を持ち出し、列島でなく群島であると判断、戦前の軍事秘密と明記された地図まで持ち出し調べた結果せん閣群島であることが確認され、大喜び―ところが何故列島と間違った呼称がなされたかということになったが、結局新聞報道の間違いがその原因だということになった。
十日付の琉球新報・沖繩タイムスにも大きな見出しでせん閣列島と記載されており、それに準じて地元紙もこれまで列島と呼称―八重山の地元の新聞からでも正しくせん閣群島と報道してくれということになった。
○…キビ価格の政府補助が補正予算に計上されていないため、政府告示の含蜜糖トン当り一九度のキビ値段は、一六ドル六五セント支払うことは出来ず、十二ドルに既決予算の一ドル二十セントを含めて十三ドル二十セントしか出来ないということで、東部西表の農民は不安を感じていると大原の花原安祐・古見の吉みね美好の両町議、古見竹富農協長等が地方庁に陳情したが、宮良地方庁長「政府は含蜜地域の安定補助金として、補正予算で十一万ドル、新年度予算で三十九万ドル計五十万ドルで間違いなく支払いをするので心配しないで貰いたい」と確答し「会社側が生産費高や砂糖価格の変動を理由に云々することは当らない」と説得していた。