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國家資源開發で農林省が本格的に/ 尖閣列島の探險へ 各方面から期待さる

掲載年月日:1939/5/26(金) 昭和14年
メディア:海南時報社 3面 種別:記事

原文表記

國家資源開發で農林省が本格的に尖閣列島の探險へ
各方面から期待さる
海南時報 昭和十四年五月二十六日

國家資源開發のため農林省から小林 高橋兩技師以下六名が去る廿日入港湖南丸で來郡 翌廿一日 石垣港に入港した縣立水産學校練習船海邦丸(四三トン 八十馬力) に乗■古賀商會所有 尖閣列島探險に赴いた  一行と共に人夫五名の外に古賀商會那覇主任多田武一氏も同行し又 石垣島測候所技手正木任氏も動物採集のため同島に赴いたが 二週間の豫定で宮古郡に属する大正島(別名■メアカシマ 赤尾島 無人島)迄 探險を終へて來る六月三日歸町する豫定で尖閣列島は燐鑛は有望視されて居り又 銅鑛 其他の鑛物も有るのでないかと見られ今回 農林省が決行した 同無人島の本格的探險の結果は各方面から頗る期待されてゐる
尖閣列島は八重山郡石垣町字登野城の區城に属し 株式會社古賀商會の所有 石垣港から西北々八十浬の沖にあり海邦丸で十二、三時間を要し(魚釣島一名クバシマ周圍約一里) 黄尾島(一名ユクン) 南小島 北小島の四小島からなり全部無人島で魚釣島はクバシマの別名があるだけ全島 クバや其他の森林で被はれて居り 代用品■代の波に乗り國吉■美 井上義夫 田村春馬三氏が共同で古賀商會から一ケ年の期限で同島のクバ採取權を獲得 目下三十數名の人夫がクバ採取のため同島に赴いてゐるがクバの葉脈は汽船等のデッキ用の箒に重寶がられてゐるものである殘りの三島は殆んど岩盤から成つてゐる
尚 黄尾島の燐鑛は二十數年前古賀商會直營で二年間採掘され其の後一年間台灣肥料會社の經營で採掘されたことがあるが燐鑛の値が安くて採算がとれず事業を放棄し今日に至つたもので昔は支那との航海船が 避難した位のもので 今回の本格的調査により此の無人島が時代の脚光を浴びて如何に價値ある島として登場して來るか? 頗る興味を以て見られてゐる

現代仮名遣い表記

国家資源開発で農林省が本格的に尖閣列島の探検へ
各方面から期待さる
海南時報 昭和十四年五月二十六日

国家資源開発のため農林省から小林、高橋両技師以下六名が去る二十日入港湖南丸で来郡、翌二十一日、石垣港に入港した県立水産学校練習船海邦丸(四三トン八十馬力)に乗■古賀商會所有 尖閣列島探検に赴いた。  一行と共に人夫五名の外に古賀商會那覇主任多田武一氏も同行し又、石垣島測候所技手正木任氏も動物採集のため同島に赴いたが、二週間の予定で宮古郡に属する大正島(別名■メアカシマ、赤尾島、無人島)迄、探検を終えて、来る六月三日帰町する予定で、尖閣列島は燐鉱は有望視されて居り又、銅鉱、其他の鉱物も有るのでないかと見られ今回、農林省が決行した。同無人島の本格的探検の結果は各方面から頗る期待されている。
尖閣列島は八重山郡石垣町字登野城の区域に属し、株式會社古賀商會の所有、石垣港から西北々八十浬の沖にあり、海邦丸で十二、三時間を要し(魚釣島、一名クバシマ、周囲約一里)、黄尾島(一名ユクン)、南小島、北小島の四小島からなり、全部無人島で、魚釣島はクバシマの別名があるだけ全島、クバや其他の森林で被われて居り、代用品■代の波に乗り国吉■美、井上義夫、田村春馬三氏が共同で古賀商會から一ヶ年の期限で同島のクバ採取権を獲得、目下三十数名の人夫がクバ採取のため同島に赴いているが、クバの葉脈は汽船等のデッキ用の箒に重宝がられているものである。残りの三島は殆んど岩盤から成っている。
尚、黄尾島の燐鉱は二十数年前古賀商會直営で二年間採掘され其の後一年間台湾肥料會社の経営で採掘されたことがあるが、燐鉱の値が安くて採算がとれず事業を放棄し今日に至ったもので、昔は支那との航海船が 避難した位のもので、今回の本格的調査により此の無人島が時代の脚光を浴びて如何に価値ある島として登場して来るか? 頗る興味を以て見られている。