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招く財寶三億四千万圓 / 海賊に絶好の隠島 古賀氏所有黄尾島?
原文表記
招く財寶三億四千万圓 海賊に絶好の隠島
古賀氏所有黄尾島?
海南時報 昭和十二年二月十七日
名古屋城の金鯱の鱗が削ぎ取られたと言つて大騒ぎをした失先 歐米の採偵小説や映畫■御馴染の有名な海賊キヤプテン・キツト が掠奪した金が一億弗(邦價約三億五千万圓)の寶石がザクザクと言■程日本領土の無人島に隠されてゐるといふ手紙が我が外務省に舞ひ込み外交問題で腐つてゐる外務省のお役人連を微苦笑させてゐるキツドは十七世■生れ世界をまたにかけ海賊■して荒し廻り一七〇一年絞首台に露と消えるまでに東支那海にも出没したことは事實らしい それに対しダグラス機の操縦士豊島克氏が古賀商店所有の尖閣列島を位置■いひ附近の珊瑚礁といひ正に相違ないとの話題をにぎはしてゐるか ところが鹿児島縣大島郡十島村寶島がそれだと名乘る寶島礦區試掘權所有者久留米市化學研究家與古田斗思氏(四六)の明細な實施踏査地圖と仝島調査書■名乘りをあげてゐるが どつこい問屋は卸さぬと太平洋を越えて齎された琉球列島の寶島三億四千万圓の理蔵ニユースは忽ち世界の話題となり 果然 ゴールドラツシユの波に乗つて世人を刺戟させた 各方面よりの材料を基礎に現在最有力な候補地は石垣島から北へ九十浬周圍一里半位の尖閣列島の黄尾嶼といふ無人島が寶の島らしいとのこと この島は古賀商會主古賀善次氏の所有に係るものでこの快報に接し當の古賀氏は語る
私の親父(古賀辰四郞氏)が明治廿九年頃から開懇し現在の所有權は私にある
黄尾嶼なる名称は多分支那人がつけたものだと思ふ
キヤプテンキツトが東支那海を中心に仕事をしたとすれば掠奪品をかくすに もつてこいの島で何れにしても一度は行つて見たいと考へてゐる
流石に満面喜悦に輝き 尚ほこの快報に接するや一摑巨万の富に憧れ仝島に乘込まんとする者もゐるらしく今後仝島■探檢は興味を以て見られてゐる
現代仮名遣い表記
招く財寶三億四千万円 海賊に絶好の隠島
古賀氏所有黄尾島?
海南時報 昭和十二年二月十七日
名古屋城の金鯱の鱗が削ぎ取られたと言って大騒ぎをした失先、欧米の採偵小説や映画■御馴染の有名な海賊キャプテン・キットが掠奪した金が一億弗(邦価約三億五千万円)の宝石がザクザクと言■程日本領土の無人島に隠されているという手紙が我が外務省に舞い込み、外交問題で腐っている外務省のお役人連を微苦笑させている。キッドは十七世■生れ、世界をまたにかけ海賊■して荒し廻り、一七〇一年絞首台に露と消えるまでに東支那海にも出没したことは事実らしい。それに対しダグラス機の操縦士豊島克氏が、古賀商店所有の尖閣列島を位置■言い附近の珊瑚礁と言い正に相違ないとの話題をにぎわしているが、ところが鹿児島県大島郡十島村宝島がそれだと名乗る宝島鉱区試掘権所有者久留米市化学研究家與古田斗思氏(四六)の明細な実施踏査地図と同島調査書■名乗りをあげているが、どっこい問屋は卸さぬと太平洋を越えて齎された琉球列島の宝島三億四千万円の理蔵ニュースは忽ち世界の話題となり、果然 ゴールドラッシュの波に乗って世人を刺戟させた。各方面よりの材料を基礎に現在最有力な候補地は、石垣島から北へ九十浬周囲一里半位の尖閣列島の黄尾嶼という無人島が宝の島らしいとのこと。この島は古賀商會主古賀善次氏の所有に係るもので。この快報に接し当の古賀氏は語る。
私の親父(古賀辰四郞氏)が明治二十九年頃から開懇し現在の所有権は私にある。
黄尾嶼なる名称は多分支那人がつけたものだと思う。
キャプテンキットが東支那海を中心に仕事をしたとすれば掠奪品をかくすにもってこいの島で、何れにしても一度は行って見たいと考えている。
流石に満面喜悦に輝き、尚おこの快報に接するや一摑巨万の富に憧れ同島に乗込まんとする者もいるらしく、今後同島■探検は興味を以て見られている。