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讀者倶樂部
掲載年月日:1910/10/24(月) 明治43年
メディア:琉球新報社 3面 種別:記事
原文表記
讀者倶樂部
▲沖繩座と明治座では三浦丸遭難者弔慰の慈善芝居を興行して居るので大受けである殊に沖繩座のは三浦丸遭難の實況を芝居に脚色で見せるので其人氣は素晴らしいものである踊りには琉球古有の優美で面白いのを演じ大切には組踊のいゝのを見せるので中々抜け目のない氣の利いたやりかたである又た中座は明治座と同しく今歸仁由來記を演じ共に好評であるが一寸中座に注意を促したいのは演藝中トーザイの聲を絶へ間なく發して居るにも拘らず東側圍内の井戸は時々水汲む音がガラガラして折角見物に來て肝腎の處が聞へないで困るのみか右井戸の側に備へてある風呂の煙が見物塲にはい入込んで座て居られない大に不快を感じた座長たるものは萬事に拔目なく氣を付て貰いたい(大石小僧)
現代仮名遣い表記
読者倶楽部
▲沖縄座と明治座では、三浦丸遭難者弔慰の慈善芝居を興行して居るので大受けである。殊に沖縄座のは三浦丸遭難の実況を芝居に脚色で見せるので、其人気は素晴らしいものである。踊りには琉球古有の優美で面白いのを演じ、大切りには組踊のいいのを見せるので中々抜け目のない気の利いたやりかたである。又た中座は、明治座と同じく今帰仁由来記を演じ共に好評であるが、一寸中座に注意を促したいのは、演芸中トーザイの声を絶え間なく発して居るにも拘らず、東側囲内の井戸は時々水汲む音がガラガラして、折角見物に来て肝腎の処が聞えないで困るのみか、右井戸の側に備えてある風呂の煙が見物場にはい入込んで座て居られない、大に不快を感じた。座長たるものは万事に抜目なく気を付て貰いたい(大石小僧)