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島巡り 天南漁夫

掲載年月日:1909/9/28(火) 明治42年
メディア:琉球新報社 1面 種別:記事

原文表記

島巡り 天南漁夫
八月十三日 午前七時和平山沖に來る然れども風强く波荒くして上陸する能はず小島に廻航し嶋影を賴りに投錨す和平山は樹木多く殊にコバ樹の多きを見る依つて俗にコバ島と稱す然るに此小嶋は一草一木なく島の一端に石造樓閣の如き岩あり尖閣の名蓋し之より出でたるものか海鳥極めて多く滊笛に驚いて飛び立つ有樣は空も爲に暗くなる程なり
此處波荒くして揚陸に便ならず晩に至りて漸く古賀商店の事務員丈け上陸せしめ貨物は其儘積戻すことにし八時過抜錨石垣嶋に向ふ

現代仮名遣い表記

島巡り 天南漁夫
八月十三日 午前七時、和平山沖に来る。然れども風強く波荒くして上陸する能はず。小島に廻航し嶋影を頼りに投錨す。和平山は樹木多く、殊にコバ樹の多きを見る。依って俗にコバ島と称す。然るに此小嶋は一草一木なく、島の一端に石造楼閣の如き岩あり、尖閣の名蓋し之より出でたるものか、海鳥極めて多く汽笛に驚いて飛び立つ有様は、空も為に暗くなる程なり
此処、波荒くして揚陸に便ならず。晩に至りて漸く古賀商店の事務員だけ上陸せしめ、貨物はそのまま積戻すことにし、八時過、抜錨石垣嶋に向う。