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島巡り

掲載年月日:1909/8/30(月) 明治42年
メディア:琉球新報社 1面 種別:記事

原文表記

島巡り
天南漁夫
七月二十二日 球陽丸八重山より來る溪水は二十六日に處理すべき用務ありとて余に歸覇を促す然れども余は未た八重山を見舞ひたることなく今回歷遊も實は八重山が目的なれば折角此處まで來り舩に乗り後れた爲おめおめと引返す餘り器量のよき話にあらず遂に不本意ながら溪水を歸らしむ
見送りに濱まで出てたる時は鬼界ヶ嶋に取り殘されし俊寬ならねど云ひ知らぬ淋しさを感したり幸に二十日以來兼城村長大城虎造君同宿したりければ少しく無聊を醫することを得たり

現代仮名遣い表記

島巡り
天南漁夫
七月二十二日 球陽丸八重山より来る渓水は、二十六日に処理すべき用務ありとて、余に帰覇を促す然れども。余は未た八重山を見舞いたることなく今回歴遊も、実は八重山が目的なれば、折角此処まで来り、船に乗り後れた為おめおめと引返す余り、器量のよき話にあらず、遂に不本意ながら渓水を帰らしむ。
見送りに浜まで出てたる時は、鬼界ヶ嶋に取り残されし俊寛ならねど、云い知らぬ淋しさを感じたり。幸に二十日以来、兼城村長、大城虎造君、同宿したりければ少しく無聊を医することを得たり。