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島巡り
掲載年月日:1909/8/26(木) 明治42年
メディア:琉球新報社 1面 種別:記事
原文表記
島巡り
天南漁夫
七月十八日 連日の不漁に業を煮やし朝より漁况を探究す溪水は終日睡を貧ぼるのみ近所の漁夫や傳馬船の水主等に尋ぬれば余を上陸の紳士と■くびりてか敎ゆる所は雜魚釣の塲所にて少しも要傾を得ず
漲水灣の底は一面珊瑚實にて埀綸の好塲所極めて少し只伊良部との中間に川の如き割目あり此處タマンを釣るには恰好の塲所と聞きぬれば今日は例より早く出て御飯まで用意して漕出す
深さ十五六尋の海底正午の頃なれば水色に依り識別するの便もあれども夕刻になりては一面たゞ碧玻璃何處やら薩■■わからず詮方なく同行者の心當て錨を投して糸を埀るゝも音沙汰なし夜明け■近き頃までに三四回塲所をかへ獲たるものは船頭の針にかゝりたる三斤位ひのタマン一尾のみ
現代仮名遣い表記
島巡り
天南漁夫
七月十八日 連日の不漁に業を煮やし朝より漁況を、探究す渓水は終日睡を貧ぼるのみ。近所の漁夫や伝馬船の水主等に尋ねれば、余を上陸の紳士と■くびりてか教ゆる所は、雑魚釣の場所にて少しも要傾を得ず。
漲水湾の底は一面珊瑚実にて垂綸の好場所極めて、少し只伊良部との中間に川の如き割目あり。此処タマンを釣るには恰好の場所と聞きぬれば、今日は例より早く出て御飯まで用意して漕出す。
深さ十五六尋の海底正午の頃なれば水色に依り、識別するの便もあれども夕刻になりては、一面ただ碧玻璃何処やら。薩■■わからず詮方なく同行者の心当て錨を投して糸を垂るるも、音沙汰なし夜明け■近き頃までに三四回塲所をかえ、獲たるものは船頭の針にかかりたる、三斤位ひのタマン一尾のみ。