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尖閣列島遊覽希望者に就き
原文表記
尖閣列島遊覽希望者に就き
琉球新報 明治四十一年七月三日
尖閣列島のこと一度新聞紙上に公表されてより仝列島の遊覧希望の旨申込む向きも之れあるやに聞きたるが右に就き仝列島經營者たる古賀辰四郞氏が記者に語りたる處によれば仝島の設備は單に事業に差支へなき限りに於て之れを爲しあるのみにして一朝鰹漁其の他鳥類の捕獲か盛んに行はるゝ時は現在の分にては不便を感する次第なるが上に舩着きとては未だ完全せず滊舩の停舩時間とても未だ列島に一泊とまでは行かず着舩の日直ちに荷役其の他萬■の手配を了へて敷時間の後ちには列島出發歸航の途に就く有様なれば若し遊覧に來航ありたればとて寛々上陸も出來難き實狀にあ■のみならず一般の設備が事業に差支へなきを限度と■たる上■便舩來航の當日は島内上下を擧けて最とも繁忙の一日なるが故に到底滿足なる案内も成り難き事情あり折角の希望に滿足を呈せざるは誠に氣の毒の至りなれども右等の事情によりて爰許當分の處は御斷なりを致すの■却て失禮を重ねざる所以なるべしとも信ず云々と云ひ居れり
現代仮名遣い表記
尖閣列島遊覧希望者に就き
琉球新報 明治四十一年七月三日
尖閣列島のこと一度新聞紙上に公表されてより同列島の遊覧希望の旨申込む向きも之れあるやに聞きたるが、右に就き同列島経営者たる古賀辰四郞氏が記者に語りたる処によれば、同島の設備は単に事業に差支えなき限りに於て之れを為しあるのみにして、一朝鰹漁其の他鳥類の捕獲が盛んに行わるゝ時は、現在の分にては不便を感ずる次第なるが上に、船着きとては未だ完全せず、汽船の停船時間とても未だ列島に一泊とまでは行かず、着船の日直ちに荷役其の他万■の手配を了えて数時間の後ちには列島出発帰帆の途に就く有様なれば、若し遊覧に来航ありたればとて寛々上陸も出来難き実状にあ■のみならず、一般の設備が事業に差支えなきを限度と■たる上、■便船来航の当日は島内上下を挙げて最とも繁忙の一日なるが故に、到底満足なる案内も成り難き事情あり。折角の希望に満足を呈せざるは誠に気の毒の至りなれども、右等の事情によりて爰許当分の処は御断わりを致すの■却て失礼を重ねざる所以なるべしとも信ず云々と言い居れり。