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◎關西九州聯合共進會と縣下の出品

掲載年月日:1907/4/10(水) 明治40年
メディア:琉球新報社 2面 種別:記事

原文表記

◎關西九州聯合共進會と縣下の出品
△本縣下の各水產物を本縣の手により直接に縣外に紹介することの利益は一には本縣の發展となり且つ其の直接の收益は縣民の潤ともなり縣内產物の價値を維持する上に有利なるのみならず出品人各自の側よりは需要者側の趣好等を研究し且つ之れが改善進歩の一參考となると尠なからざるにあり
△今年十月より十二月に懸け長崎市に於て開設せらるべき關西九州聯合共進會には本縣下より出品の總点數は八百十六點に及ふべき豫定なりとのそなるが之れに就き那覇區役所に於て先日島尻郡尾及び區内の實業家を集め賣店を出すべきや否やを協議したること當特の新報紙上記載の如くなるが聞く所によれば右賣店を出すをに决定したる分今日迄の所は左の七名ありと云ふ
  一、漆器賣店
    安里成森、米次源吉
  一、織物賣店
    渡久地政瑚、國吉眞福
  一、各會社側の賣店
    糸滿水產株式會社、沖繩帽子株式會社(照屋順子會社)、沖繩貯藏食品株式會社、山の内阿旦葉製帽會社
△右各會社及び各個人の賣店は総て共同的にして各個人別々に出店するにはあらずと云ふ從來の經驗殊に第五内國博覽會に出店したる經驗によれば獨立の賣店は經費と收支相償ふこと能はず懲りヽの目に遭ひ居るが故に今回は成るべく共同にして出店し費用の如き各共通負担として一般の利益を謀ることにしては如何と■意見渡久地政瑚より提出ありたるにより一同異議なく之に决したる次第なりと云ふ
△斯くて右出店の間口は一人に一間宛都合一列に七間間口となれども他に三間の余地を在じ都合十間間口を借り受けあれば尚ほ三人は出店するそを得べしと云ふ而して出店に就ての条件は左の如し
  一、品物の運搬費用は各自負担
  一、各自賣店の看視及ひ売捌に就ては確實なる代人を撰定して之に依託すること而して賣店の持主は態々出張するものの費用を節减し得て代理者には往復の旅費及び日當として一日金■圓を支拂ふこと
  一、賣店に要する設備費用は間數割其の他日當、被雇人賃、雜費等の半額を各賣店の間數割とし半額を賣上代金按比例
△大略の條件右の如し如斯くにして共同的賣店の設備は整ひ此の有利なる共進會に縣の諸產物は陳列せられ販賣せらるゝことなるが此の他會塲に陳列せられるゝ本縣水產物上記八百餘點の内
   那覇よりの分   百五十點
   島尻郡の分   四百十七點
計りあるべき豫定なる由右の内注目すべき出品物としては
  貝細工、貝入漆器、信天翁の羽毛(之れは尖閣列島中の產物)海竹、海產、染料(豚の血又は芭蕉の澁にて製したる漁網の染料)、飛魚流網、統緍糸、釣鉤(鱶釣道具等もあり)、烏賊釣り具、刳船の雛形(一切附属品付)、飛魚の燻製、絲䗶龜甲、鱶油、鰹骨粉、延繩海底切断器、潜水眼鏡、視水器(桶小鏡)、甲類、海松、海綿、鱶鰭、明骨、罐詰其の他海產物等な■べしと云ふ。
△特種なる人文、氣候風土の許の製品及び海產物が多少の特色あるは云ふ迄もなし本縣の實業家は今後此の特異の產物を以て如何に其の販路と實益とを進むべきかは比較研究若くは世間の批評をを聞くにありとす共進會の出品の如きは此の機会を捉ふるに好適ならずや

現代仮名遣い表記

◎関西九州連合共進会と県下の出品
△本県下の各水産物を、本県の手により直接に県外に紹介することの利益は、一には本県の発展となり且つ其の直接の収益は県民の潤ともなり、県内産物の価値を維持する上に有利なるのみならず。出品人各自の側よりは、需要者側の趣好等を研究し、且つ之れが改善進歩の一参考となると少なからざるにあり。
△今年十月より十二月に懸け、長崎市に於て開設せらるべき関西九州連合共進会には、本県下より出品の総点数は八百十六点に及ふべき予定なりとのことなるが、之れに就き那覇区役所に於て先日、島尻郡及び区内の実業家を集め、売店を出すべきや否やを協議したること当時の新報紙上記載の如くなるが、聞く所によれば右売店を出すことに決定したる分、今日迄の所は左の七名ありと云う。
  一、漆器売店
    安里成森、米次源吉
  一、織物売店
    渡久地政瑚、国吉真福
  一、各会社側の売店
    糸満水産株式会社、沖縄帽子株式会社(照屋順子会社)、沖縄貯蔵食品株式会社、山の内阿旦葉製帽会社
△右、各会社及び各個人の売店は、総て共同的にして各個人別々に出店するにはあらずと云う。従来の経験、殊に第五内国博覧会に出店したる経験によれば、独立の売店は経費と収支相償ふこと能わず懲りごりの目に遭ひ居るが故に、今回は成るべく共同にして出店し、費用の如き各自共通負担として一般の利益を謀ることにしては如何と、■意見渡久地政瑚より提出ありたるにより、一同異議なく之に決したる次第なりと云う。
△斯くて右出店の間口は、一人に一間宛、都合一列に七間。間口となれども他に三間の余地を存じ、都合十間間口を借り受けあれば、尚ほ三人は出店することを得べしと云う。而して出店に就ての条件は左の如し
  一、品物の運搬費用は各自負担
  一、各自売店の看視及び売捌に就ては、確実なる代人を選定して之に依託すること。而して売店の持主は、態々出張するの費用を節減し得て代理者には往復の旅費及び日当として、一日金■円を支払うこと
  一、売店に要する設備費用は間数割。其の他日当、被雇人賃、雑費等の半額を各売店の間数割とし、半額を売上代金の按分比例
△大略の条件右の如し、如斯くにして共同的売店の設備は整ひ、此の有利なる共進会に県の諸産物は陳列せられ、販売せらるることなるが、此の他会場に陳列せられるる本県水産物、上記八百余点の内
   那覇区よりの分   百五十点
   島尻郡の分    四百十七点
計りあるべき予定なる由、右の内注目すべき出品物としては、
貝細工、貝入漆器、信天翁の羽毛(之れは尖閣列島中の産物)海竹、海参、染料(豚の血又は芭蕉の渋にて製したる漁網の染料)、飛魚流網、統緍糸、釣鈎(鱶釣道具等もあり)、烏賊釣り具、刳船の雛形(一切附属品付)、飛魚の燻製、絲䗶亀甲、鱶油、鰹骨粉、延縄海底切断器、潜水眼鏡、視水器(桶小鏡)、甲類、海松、海綿、鱶鰭、明骨、缶詰其の他海産物等な■べしと云う。
△特種なる人文、気候風土の許の製品及び海産物が多少の特色あるは云う迄もなし。本県の実業家は今後、此の特異の産物を以て如何に其の販路と実益とを進むべきかは、比較研究若くは世間の批評をを聞くにありとす。共進会の出品の如きは、此の機会を捉えるに好適ならずや。