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●海外交易調査會(續)

掲載年月日:1900/1/15(日) 明治33年
メディア:琉球新報社 1面 種別:記事

原文表記

●海外交易調査會(續)
二朱
朱の種類 朱は漆器の原料として多く用ひられる其種類は多しと雖も本縣に於て用ゆるは隆華朱と稱し粉狀となす下等品なり古來朱墨も輸入したれとも今日ハ至て少なし朱ハ又するヽ網を染むるに用ゆと云ふ
二 集散地 產地不詳なれハ集散地も亦明かなされとも上海より大坂へ輸入するものヽ如し
三 取引の狀况 取引ハ之れ亦大坂より買人本縣へ輸入す然れも直接支那人と取引せす大坂に繒其問屋なるものありて之れより購入するものあり
四 運搬の方法及荷造 支那より輸入する運搬の方法及荷造は明かなされとも本縣へ輸入する際の荷造ハ五十斤入を一函とす函中の朱ハ半斤つヽを一包とし其一包中を又拾個の小包とす
五 輸入額及時期 朱の輸入は三千七百斤其價額凡そ七千〇三拾圓其時期は一定せす
六 輸入后の需要の狀况 漆器の產■ハ漸々増加するを以て從て朱の輸入も増加すへし
漆器を製造するハ多くは那覇のみにして地方に於てハ甚た少なし現今那覇に朱を取扱ふ商店七八軒あり
三 蛇皮
一 產地 原產地ハ不明なれとも印度地方より輸入すと云ふ
二 集散地 蛇皮も大坂に於て買入れ之れを本縣に輸入す大坂に於て之れを取引するハ廣東人にして二三軒あり之等の商人ハ香港邊より輸入するものなるへし
價額は品質に依りて異なり上等のものは三味線一張分二圓するものあり又下等品なれハ壹圓内外のものあり之を賣買するに枚數に依りてするものあり又長さに依りてすることあり品の欠乏したるときハ一張分何程と定む一枚の長さ凡そ五六尺あり
三 輸入額 蛇皮ハ凡そ年々千枚の輸入あり其総價額は千圓なり
四 香類
一 種類 香類とは即ち線香を云ふ種類ハ種々あれとも本縣に於て使用するは多く竹仙香と稱し竹を心とし佛前に供するものなり
二 產地 本縣へ輸入するものは福州及び廣東にて製するものなり
三 集散地 香類も大坂に居住する支那商人に依りて取引せらる之れを取扱ふもの二名あり一名は福州人にして一名は廣東人なり
四 運搬の方法附荷造 二十本乃至二十四五本を小包にして其小包十個を以て一把とし二三百把を一箱とす
五 輸入額及時期 輸入額ハ年々凡そ一万把其價額七百圓時期ハ盆と正月に使用するものなれは舊六七月及十二月に多し
五 紅麹
一 產地 紅麹は料理又は菓子等に着色する染料にして其産地は福州なり
二 集散地 此紅麹も大坂に之れを取扱ふ福州人二人あり
三 荷造 布袋に入れ之れを運搬す其重凡そ百斤一斤に付凡そ四合なれば一袋ハ四斗入なり
四 輸入額及時期 年々三拾石の輸入あり其價額凡そ七百五拾圓紅麹ハ正月多く用ゆるものなれば輸入期節も十二月なり

現代仮名遣い表記

●海外交易調査会(続)
二朱
朱の種類 朱は漆器の原料として多く用いられる。其種類は多しと雖も、本県に於て用ゆるは隆華朱と称し粉状となす。下等品なり、古来朱墨も輸入したれとも、今日は至りて少なし。朱は又するヽ網を染むるに用ゆと云う。
二 集散地 産地不詳なれは、集散地も亦明かならされとも、上海より大坂へ輸入するものの如し。
三 取引の状況 取引は、之れ亦大坂より、買人本県へ輸入す然れも、直接支那人と取引せす。大坂に繒、其問屋なるものありて之れより購入するものあり。
四 運搬の方法及荷造 支那より輸入する、運搬の方法及荷造は明かなされとも、本県へ輸入する際の荷造い、五十斤入を一函とす函中の朱は半斤つつを一包とし、其一包中を又拾個の小包とす。
五 輸入額及時期 朱の輸入は、三千七百斤其価額、凡そ七千〇三拾円、其時期は一定せす。
六 輸入後の需要の状況 漆器の産■は、漸々増加するを以て、従て朱の輸入も増加すべし。
漆器を製造するは多くは那覇のみにして、地方に於ては甚た少なし現今那覇に朱を取扱う商店七八軒あり。
三 蛇皮
一 産地 原産地は不明なれとも、印度地方より輸入すと云う。
二 集散地 蛇皮も大坂に於て買入れ、之れを本県に輸入す。大坂に於て之れを取引するは廣東人にして二三軒あり。之等の商人は香港辺より輸入するものなるべし。
価額は品質に依りて異なり、上等のものは三味線一張分二円するものあり。又下等品なれは、一円内外のものあり。之を売買するに枚数に依りてするものあり、又長さに依りてすることあり。品の欠乏したるときは一張分何程と定む、一枚の長さ凡そ五六尺あり。
三 輸入額 蛇皮は凡そ、年々千枚の輸入あり。其総価額は千円なり。
四 香類
一 種類 香類とは即ち、線香を云う。種類は種々あれとも、本県に於て使用するは、多く竹仙香と称し、竹を心とし払前に供するものなり。
二 産地 本県へ輸入するものは、福州及び広東にて製するものなり。
三 集散地 香類も大坂に、居住する支那商人に依りて取引せらる。之れを取扱うもの二名あり、一名は福州人にして、一名は広東人なり。
四 運搬の方法附荷造 二十本乃至、二十四五本を小包にして、其小包十個を以て一把とし、二三百把を一箱とす。
五 輸入額及時期 輸入額は年々凡そ、一万把、其価額七百円。時期は盆と正月に使用するものなれば、旧六七月及十二月に多し。
五 紅麹
一 産地 紅麹は料理又は菓子等に着色する染料にして、其産地は福州なり。
二 集散地 此紅麹も大坂に、之れを取扱う福州人二人あり。
三 荷造 布袋に入れ之れを運搬す。其重凡そ、百斤一斤に付凡そ、四合なれば一袋は四斗入なり。
四 輸入額及時期 年々三拾石の輸入あり。其価額凡そ、七百五拾円。紅麹い正月多く用ゆるものなれば、輸入期節も十二月なり。