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●海外交易調査會(續)
原文表記
●海外交易調査會(續)
五 輸入額及輸入時期 輸入額ハ年々增加し現今一ヶ年凡そ、五万斤其價額は大凡そ壹万五六千圓なり輸入時期は年中絕ゆることなく最も多き期節ハ盆祭正月前即ち舊五六月より七八月及十二月頃なり
六 輸入後の需要の状況 茶ハ元来那覇首里に於て最も多く消費し其他の地方に於ても其需要遂年增加するの傾向なれは現今は五六年前に比し其輸入額巳に一倍以上に達せり故に今后茶は益ゝ其輸入を增進すること必然なるへし
七 直輸入の方法及其利益の程度 直輸入の方法に就ては未た充分の調査を遂けされハ詳ならす依て此際志那に於て取引するの手續とするか金融ハ如何なる方法とするや支那人と直接の取引をする方利益あるか又は外國人と取引する方可なるか又其仕拂ハ六ヶ月とするか、一ヶ年とするを可とするか等は調査する最も必要なる事項なるへし
直輸入の利益は本縣より福州航路を開始し年五六回も航海するに至れは福州より本縣迄の諸掛のみなるを以て大坂を經て本縣に輸入する諸掛に比すれは其利益あることは必然なり
二 織物
一 織物の種類 織物ハ古來広東繻子紋純子綸子紗緩五ッ瓜紋縮緬罹紗呉服絽ヒツチジヨン、サイヤンフ、キヤシフ、ケンチユ、阿南纃桐板チエー、及綛なりしか現今多く輸入せらるゝものハ阿南纃、大田纃(蚊帳地)トンヒヤンチエー及綛なり
二 產地產類 織物の產地は調査せしものなきを以て詳かならされとも阿南纃は阿南より桐板綛ハ厦門より三十里計り距りたる村落より出す其他絹織物は廣東地方又は蘇州地方なりと云ふ
三 集散地 志那に於て右掲げたる織物の集散地として重なるは上海なり己前本縣へ絹織物を輸入せしハ福州及び厦門なれも此両地方ハ織物の集散地にあらす呉服店あるを以て之より買入りたるものなるへし
取引の狀况ハ茶に同しく大坂に居住する支那人に依りて輸入せられたるものを買入るゝなり又大坂に平松商店なるものあり此商店は神戶大坂の志那人と取引なすを以て此商店より買入るゝことあり
桐板綛ハ重に大坂にて茶を取扱ふ二名の福州人より買入る此桐板綛ハ他府縣にて用ひず全く本縣の需要物なり
海關稅其他明ならす
四 運搬の方法 附荷造の方法 織物は其長さ巾一定せす同品と雖とも異なることありサイヤン布ハ一匹分を巻物とし一匹にも又其長さに差異あることありケンチョの如き長さ五丈巾壱尺二三寸なるものあり又巾九寸長さ二丈五尺のものあり純子は凡そ女丸帶四つ分を一巻とす如此區々なるを以て荷造は茶の如く一定とする事能はさるのみならす織物なれハ組造なるものに入るゝことを得す志那鞄に入れ輸入するものあり又荷物の間に入るゝことあり
五 輸入額及時期 輸入額は大凡そ阿南纃二千四五百反其価額壹反分七八十錢即ち千八九百円桐板綛は二千反分にして一反分凡そ二圓内外即ち四千圓内外なり
阿南纃は舊二月頃より五月迄を最多の輸入期節とす桐板綛亦夏時用■る衣服の原料なれは阿南纃と同時期にを多しとす
トンビヤンツエーも亦千反位の輸入あり之れ多く形付となす蚊帳も亦年々二三百張の輸入あり其産地は福州にして其價額は一張十圓内外なり (未完)
現代仮名遣い表記
●海外交易調査会(続)
五 輸入額及輸入時期 輸入額は年々増加し、現今一ヶ年凡そ、五万斤其価額は大凡そ、壱万五六千円なり。輸入時期は年中絶ゆることなく、最も多き期節は、盆祭正月前即ち旧五六月より七八月及、十二月頃なり。
六 輸入後の需要の状況 茶は元来那覇首里に以て最も多く、消費し其他の地方に於ても、其需要遂年増加するの傾向なれい。現今は五六年前に比し、其輸入額巳に一倍以上に達せり故に、今后茶い益々其輸入を増進すること必然なるべし。
七 直輸入の方法及其利益の程度 直輸入の方法に就ては、未だ充分の調査を遂けされは詳ならず。依て此際志那に於て取引するの手続とするか、金融は如何なる方法とするや、支那人と直接の取引をする方利益あるか又は、外国人と取引する方可なるか又、其仕払い六ヶ月とするか、一ヶ年とするを可とするか等は、調査する最も必要なる事項なるべし。
直輸入の利益は本県より、福州航路を開始し年五六回も航海するに至れば、福州より本県迄の諸掛のみなるを以て。大坂を経て本県に輸入する諸掛に比すれは其利益あることは必然なり。
二 織物
一 織物の種類 織物は、古来広東繻子紋純子綸子紗緩五ッ瓜紋縮緬罹紗呉服絽ヒツチジヨン、サイヤンフ、キヤシフ、ケンチユ、阿南纃桐板チエー、及綛なりしか現今多く輸入せらるるものは阿南纃、大田纃(蚊帳地)トンヒヤンチエー及綛なり。
二 産地産類 織物の産地は調査せしものなきを以て、詳かならされとも、阿南纃は阿南より、桐板綛い厦門より、三十里計り距りたる村落より出す。其他絹織物は、広東地方又は蘇州地方なりと云う。
三 集散地 志那に於て、右掲げたる織物の集散地として重なるは上海なり。己前本県へ絹織物を輸入せしは、福州及び厦門なれも、此両地方は織物の集散地にあらす。呉服店あるを以て、之より買入りたるものなるべし。
取引の状況は茶に同しく、大坂に居住する支那人に依りて、輸入せられたるものを買入るるなり。又大坂に平松商店なるものあり。此商店は神戸大坂の志那人と取引なすを以て、此商店より買入るることあり。
桐板綛は、重に大坂にて茶を取扱う、二名の福州人より買入る。此桐板綛他府県にて用いず、全く本県の需要物なり。
海関税其他明ならす。
四 運搬の方法 附荷造の方法 織物は其長さ巾一定せす。同品と雖とも異なることあり。サイヤン布は、一匹分を巻物とし、一匹にも又其長さに、差異あることあり。ケンチョの如き、長さ五丈巾壱尺二三寸なるものあり。又巾九寸長さ二丈五尺のものあり、純子は凡そ、女丸帯四ツ分を一巻とす如。此区々なるを以て、荷造は茶の如く、一定とする事能はさるのみならず、織物なれは組造なるものに入るることを得す。志那鞄に入れ輸入するものあり。又荷物の間に入るることあり。
五 輸入額及時期 輸入額は大凡そ、阿南纃二千四五百反其価額壱反分七八拾銭。即ち千八九百円桐板綛は二千反分にして壱反分。凡そ二円内外。即ち四千円内外なり
阿南纃は旧二月頃より五月迄を最多の輸入期節とす。桐板綛亦夏時用にる衣服の原料なれは阿南纃と同時期にを多しとす。
トンビヤンツエーも亦千反位の輸入あり之れ多く形付となす蚊帳も、亦年々二三百張の輸入あり。其産地は福州にして其価額は一張十円内外なり。 (未完)