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◎沖繩通信
原文表記
◎沖繩通信
十月二十二日沖繩縣那覇港發の通信に曰く本縣寄留商人等の發起により曩に沖繩商議所設置の儀を請願せし處去る六日に其允可を得、當分那覇役所を拜借して假りに其處に開設せり右允可相成りしに付來十一月一日に創立式を執行すべき見込なれ共未だ决定せず明后廿四日右役所に集會して種々打合する節創立式執行の日限等を取極る筈なり又商議所の役員は所長は田代靜之助氏、幹事は松田通信、須田仲之丞の兩氏常議員は山本昌行、肥後孫左衛門、白石武助、芝原佐一、中馬辰次郞、有馬藤太郞、川崎覺太郞、佐藤文藏、小牧藤助、柳元平兵衛、飛岡吉次郞、濱田藤次郞の十二氏なり○來月三日の天長節には那覇地方と小祿間切との境界に在る明治橋の中央(此明治橋は前後に二橋ありて其中央に中島あり中央とは則ち其中島を云ふ)にて煙火の打揚げある筈右は本縣官吏の催ほ志に係るよしなれば定めて盛大ならんと人々今より其日を相待居候○去る十八日出雲丸入港、三日間碇泊して廿一日の午后四時頃久米、宮古、八重山の三島へ向け出發したり○二十日朝日丸豐瑠丸の兩船入港せり右ハ四五日間碇泊するよし○天氣は此頃引續き快晴に有之併し雲を見れば忽ち雨あるは當地の常なれば敢て賴にみハ相成り不申昨今氣候は相變ず不順にて比晝間■子を着け夜間綿入を着する樣の摣梅に有之候○當地の劇塲は組躍りと唱へ都合三箇所あり就れも相應に見物人あり其樣は大抵内地の神樂若しくは能狂言の如くに有之候
現代仮名遣い表記
◎沖縄通信
十月二十二日沖縄県那覇港発の通信に曰く、本県寄留商人等の発起により、さきに沖縄商議所設置の儀を請願せし所、去る六日にその允可を得、当分那覇役所を拝借して仮りにその所に開設せり。右允可相成りしに付、来十一月一日に創立式を執行すべき見込なれ共、未だ決定せず明後二十四日右役所に集会して種々打合する節、創立式執行の日限等を取極る筈なり。又商議所の役員は所長は田代静之助氏、幹事は松田通信、須田仲之丞の両氏常議員は山本昌行、肥後孫左衛門、白石武助、芝原佐一、中馬辰次郎、有馬藤太郎、川崎覚太郎、佐藤文蔵、小牧藤助、柳元平兵衛、飛岡吉次郎、浜田藤次郎の十二氏なり。
○来月三日の天長節には那覇地方と小禄間切との境界に在る明治橋の中央(この明治橋は前後に二橋ありてその中央に中島あり中央とは則ちその中島を云う)にて煙火の打揚げある筈。右は本県官吏の催ほしに係るよしなれば定めて盛大ならんと人々今よりその日を相待居候。
○去る十八日出雲丸入港、三日間碇泊して廿一日の午後四時頃久米、宮古、八重山の三島へ向け出発したり。
○二十日朝日丸豊瑠丸の両船入港せり右は四、五日間碇泊するよし。
○天気はこの頃引続き快晴に有之併し雲を見ればたちまち雨あるは、当地の常なれば敢て頼にみは相成り。不申昨今気候は相変ず不順にてこの昼間■子を着け夜間綿入を着する様の摣梅に有之候
○当地の劇場は組躍りと唱へ都合三箇所ありいずれも相応に見物人あり、その様は大抵内地の神楽若しくは能狂言の如くに有之候。