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魚釣り島中心に調査 せん閣列島調査団

掲載年月日:1969/6/20(金) 昭和44年
メディア:南西新報 2面 種別:記事

原文表記

魚釣り島中心に調査 せん閣列島調査団
南西新報 昭和四十四年六月二十日

本土政府のせん閣列島海底資源調査は、    新野弘東海大学教授を団長とする調査団、調査船、東海丸二世の那覇出港で、本格化いよいよ「夢の宝庫」にメスが入れられることになつた。
この調査は昨年のエカフエ(国連に設けられたアジア極東経済委員会の調査結果に基づき 同列島一帯の大陸だなから岩石と異なつた石油、ガスを含む推積物いわゆる〝第三紀層〟があることがわかり、本土政府(総理府)は、調査費九百四十三万円を予算に計上、一方、石油開発公団もおよそ三十万円を支出して、東海大に調査を委託している
東海大は、新野弘教授を調査団長に、星野、青木両教授を副団長とする十四人の調査員、二十人の研究学生を助手に当て、石油公団からは、田端技官ら四人、さらに琉大、琉球政府から五人が特別参加している。
実質調査は、十八日間でとくに公団側からスパーカー(放電音波探査機)など海底調査機を積みこむなど科学的な調査結果に期待を寄せている。
調査は、漁釣り島を中心に、百五十キロ間隔で、百三十ー百四十キロにわたるマス面状式に①海底地形の測量②底質調査③音波深査④プロトンマグネツトメーターによる地じ気調査⑤一般海洋調査で、海底の地質構造、さんご、貝、生物、海草などの総合的に学術調査を行なう方針である。
新野団長は、せん閣列島における海底石油資源の可能性は、同氏が先にエカフエ調査に参加した結果からも有望説が裏付けられているが、こんどの調査目的は、石油という企業目的からは離れ、あくまでも学術調査が主である、と強調したがこの調査が将来の石油開発の推進に役立つことも期待するとの考え方も示した。調査は来月七日まで行なわれるが、新野団長としては組査報告を早い機会(八月末ごろ)に総理府に提出したい考えである。
せん閣列島の石油開発の目的は、本土政府が明らかにしている、石油開発計画のなかでの海洋開発として、これが第一歩だともいわれその結果によつては、日本経済はもちろん、沖繩経済に大きな転換をもたらすものと、注目されている。なお、同調査には、沖繩問題等懇談会専門委員の高岡大輔氏も加わつている。

現代仮名遣い表記

魚釣り島中心に調査 せん閣列島調査団
南西新報 昭和四十四年六月二十日

本土政府のせん閣列島海底資源調査は、新野弘東海大学教授を団長とする調査団、調査船、東海丸二世の那覇出港で本格化、いよいよ「夢の宝庫」にメスが入れられることになった。
この調査は昨年のエカフェ(国連に設けられたアジア極東経済委員会)の調査結果に基づき、同列島一帯の大陸だなから岩石と異なった石油、ガスを含む推積物、いわゆる〝第三紀層〟があることがわかり、本土政府(総理府)は、調査費九百四十三万円を予算に計上、一方、石油開発公団もおよそ三十万円を支出して、東海大に調査を委託している。
東海大は、新野弘教授を調査団長に、星野、青木両教授を副団長とする十四人の調査員、二十人の研究学生を助手に当て、石油公団からは、田端技官ら四人、さらに琉大、琉球政府から五人が特別参加している。
実質調査は、十八日間で、とくに公団側からスパーカー(放電音波探査機)など海底調査機を積みこむなど科学的な調査結果に期待を寄せている。
調査は、魚釣り島を中心に、百五十キロ間隔で、百三十~百四十キロにわたるマス面状式に①海底地形の測量②底質調査③音波深査④プロトンマグネットメーターによる地じ気調査⑤一般海洋調査で、海底の地質構造、さんご、貝、生物、海草などの総合的に学術調査を行なう方針である。
新野団長は、せん閣列島における海底石油資源の可能性は、同氏が先にエカフェ調査に参加した結果からも有望説が裏付けられているが、こんどの調査目的は、石油という企業目的からは離れ、あくまでも学術調査が主である、と強調したが、この調査が将来の石油開発の推進に役立つことも期待するとの考え方も示した。調査は来月七日まで行なわれるが、新野団長としては調査報告を早い機会(八月末ごろ)に総理府に提出したい考えである。
せん閣列島の石油開発の目的は、本土政府が明らかにしている、石油開発計画のなかでの海洋開発として、これが第一歩だともいわれ、その結果によっては、日本経済はもちろん、沖縄経済に大きな転換をもたらすものと注目されている。なお、同調査には沖縄問題等懇談会専門委員の高岡大輔氏も加わっている。