キーワード検索

密航くずれの海賊船 / 尖角列島周邊に出沒

掲載年月日:1953/3/3(火) 昭和28年
メディア:海南時報 2面 種別:記事

原文表記

密航くずれの海賊船 尖角列島周邊に出沒 警察本部が署へ逮捕を手配
海南時報 昭和二十八年三月三日

(沖繩一日発KSAR)
尖角列島周辺に赤色の船が出没しているとの報告により 警察本部では廿八日各署に対したい捕方手配したが同船は一月一日に宮古にあらわれた海賊船の大光丸ではないかとみられ主謀者仲村栄光らが乗つているのではないかとみられてる
大光丸は昨年暮パラセル方面に漁貝類採取のため燃料九〇トン 食糧四十五日分 塩一万五千斤などを積んで香港から出港したが パラセルに向けずに同月卅日与那国久部良に入港 一月一日午前四時ごろ宮古伊良部村下地に不法入港したもので航行途中 沖繩人船員によつて中国人五名の殺害事件も計画されたが 同僚の説得で失敗 中国人七名のうち 一人は海に飛込んで行方不明になり 廿九名の般員のうち十名は一昨年香港に密航して捕つた宮古籍金勝丸の船員 七名は昨年検挙された糸満の大光丸船員で 残りの五名は中国人であつた 検挙された十名のほかの(与那国出身仲村栄光)ら五名の船員は香港出港当時から 中国人七名を無人島に上陸させ 船を奪取しようと計画 出港と共に船長上地情一をブリツジからおろし中村が船長となつたが船はパラセルの方向と違うので責任者の黄が「船のコースが違う」と訊きたゞしたか「パラセルよりもフイリピンが良い」と欺して航行 途中 中国人七名を殺すつもりのものが 宮古出身の乗組員に説得され 仲村はとうとう実行をさしひかえた 黄建らは宮古下地へ入港する前からこの計画を知つていたので入港と同時に海中に飛込んで泳ぎついたが 大光丸は宮古出身の乗組員十名を下船させ一月十三日シンガポールに向出港したもの

現代仮名遣い表記

密航くずれの海賊船 尖角列島周辺に出没 
警察本部が署へ逮捕を手配
海南時報 昭和二十八年三月三日

(沖縄一日発KSAR)
尖角列島周辺に赤色の船が出没しているとの報告により、警察本部では二十八日各署に対したい捕方手配したが、同船は一月一日に宮古にあらわれた海賊船の大光丸ではないかとみられ、主謀者仲村栄光らが乗っているのではないかとみられてる。
大光丸は昨年暮パラセル方面に漁貝類採取のため燃料九〇トン、食糧四十五日分、塩一万五千斤などを積んで香港から出港したが、パラセルに向けずに同月三十日与那国久部良に入港。一月一日午前四時ごろ宮古伊良部村下地に不法入港したもので、航行途中沖縄人船員によって中国人五名の殺害事件も計画されたが、同僚の説得で失敗。中国人七名のうち一人は海に飛込んで行方不明になり、二十九名の船員のうち十名は一昨年香港に密航して捕った宮古籍金勝丸の船員、七名は昨年検挙された糸満の大光丸船員で、残りの五名は中国人であった。検挙された十名のほかの(与那国出身仲村栄光)ら五名の船員は香港出港当時から、中国人七名を無人島に上陸させ、船を奪取しようと計画、出港と共に船長上地情一をブリッジからおろし、仲村が船長となったが、船はパラセルの方向と違うので責任者の黄が「船のコースが違う」と訊きたゞしたが「パラセルよりもフィリピンが良い」と欺して航行、途中中国人七名を殺すつもりのものが、 宮古出身の乗組員に説得され、仲村はとうとう実行をさしひかえた。黄建らは宮古下地へ入港する前からこの計画を知っていたので、入港と同時に海中に飛込んで泳ぎついたが、大光丸は宮古出身の乗組員十名を下船させ一月十三日シンガポールに向出港したもの。