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無人島探訪記(九)

掲載年月日:1950/5/19(金) 昭和25年
メディア:南琉タイムス 2面 種別:記事

原文表記

無人島探訪記(九)
南琉タイムス 昭和二十五年五月十九日

    高 良 鐵 夫
以下兩小島に行つた經驗のある漁師連と双眼鏡で見た實况とを綜合してみよう
兩小島にいる海鳥はクロアジサシ セグロアジサシ アホウドリ クロアホウドリ リユキユウカツオドリ シロイツチヨン オオミツナギドリ クロウツバメ等でありこれらの海鳥は魚類を食うのでその糞は肥料として貴重なものである 両島から飛び立つ海鳥群は空を覆い實に勇壯であり ステツキを振れば一振りで二 三羽たたき落されるという 上陸すると最初の程は人を珍らしそうに見つめているそうであるが一度彼等をおどろかすと人間を見ただけでも飛び去るという
アホウドリやその卵等が乱獲されているがこのようなことでは折角の鳥群も四散し跡を絶つに到るであろう 緊殖が極めて■緩なものであるから妄りに埔獲することを禁じ一種の保護法策を講じて群棲を誘致し 無限の肥料資源を得るようにしなくてはならない 數十年前には魚釣島にもすう十万羽のアホウドリが棲息しているようであるが永久危險地區に指定されているので現在は跡が絶えており 黄尾島にも島を覆う程棲息しているようであるが永久危險地區に指定されているのでその狀况は不明である
十二 無人島の嵐
四月五日あやしいと思われた天候は豫想通りに夕刻から風雨が強くなり 寒氣が急に襲つて來た

現代仮名遣い表記

無人島探訪記(九)
南琉タイムス 昭和二十五年五月十九日

    高 良 鐵 夫
以下両小島に行った経験のある漁師連と双眼鏡で見た実况とを総合してみよう。
両小島にいる海鳥は、クロアジサシ、セグロアジサシ、アホウドリ、クロアホウドリ、リュウキュウカツオドリ、シロイッチョン、オオミズナギドリ、クロウツバメ等であり、これらの海鳥は魚類を食うのでその糞は肥料として貴重なものである。両島から飛び立つ海鳥群は空を覆い実に勇壮であり、ステッキを振れば一振りで二、三羽たたき落されるという。上陸すると最初の程は人を珍らしそうに見つめているそうであるが、一度彼等をおどろかすと人間を見ただけでも飛び去るという。
アホウドリやその卵等が乱獲されているが、このようなことでは折角の鳥群も四散し跡を絶つに到るであろう。緊殖が極めて■緩なものであるから妄りに埔獲することを禁じ、一種の保護法策を講じて群棲を誘致し、 無限の肥料資源を得るようにしなくてはならない。数十年前には魚釣島にもすう十万羽のアホウドリが棲息しているようであるが、永久危険地区に指定されているので現在は跡が絶えており、黄尾島にも島を覆う程棲息しているようであるが、永久危険地区に指定されているのでその状况は不明である。
十二 無人島の嵐
四月五日、あやしいと思われた天候は、予想通りに夕刻から風雨が強くなり、寒気が急に襲って来た。