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◎臺灣湾肥料會社支配人を訪ふ

掲載年月日:1911/9/14(木) 明治44年
メディア:琉球新報社 2面 種別:記事

原文表記

◎台灣肥料會社
支配人訪ふ
昨日江陽丸にて來縣せる台灣肥料株式會社の支配人恒藤源八氏を池畑旅舘に訪ふ氏は先年來縣したる恒藤農學博士の實弟なるが仝會社の現狀に就き記者に語りたる所左の如し
我々の會社は打狗にあつて資本は今の所三十萬圓で株式組織になって居ります。昨年の七月頃から創立に着手して居るけれども何分敷地も特に埋立をしなければならなかつたので水面埋立やら建築やらで時日を費やし近頃やつと機械の据付を終へて私の出發當時に試運輸をやる迄に運んで居ました。社長は監水港製糖會社の社益荒井泰治氏が處務し其外の重役も大抵兩社を兼務して居りますので云はゞ一つ會社のやうなものです、會社の成立ちは御承知の通り先年兄が尖閣列島などを視察した結果で荒井社長と二人の話で出來上がつたやうなものです。肥料は台灣、尖閣列島及び南淸邊から原料を取り寄せて配合肥料と製造し作物と風土、土壤の性質に依つて夫々適當の肥料を作り上げて台灣及び御當地に供給する積りであるが事業の着手に何れず一月頃に製品の見本を作つて廣く公表してから本當の製造に掛かる筈です、原料の採集は御承知の通り廣運社の使つて居る江陽丸が私達の會社の所有船であるからアノ船を原料の採集に充てる考で廣運社とは其の積りでチャーターする事になつて居ります云々

現代仮名遣い表記

◎台湾肥料会社
支配人訪う
昨日、江陽丸にて来県せる、台湾肥料株式会社の支配人恒藤源八氏を、池畑旅舘に訪う氏は、先年来県したる、恒藤農学博士の実弟なるが、仝会社の現状に就き、記者に語りたる所左の如し。
我々の会社は打狗にあって、資本は今の所三十万円で株式組織になって居ります。昨年の七月頃から、創立に着手して居るけれども、何分、敷地も特に埋立をしなければならなかつたので、水面埋立やら、建築やらで時日を費やし、近頃やっと機械の据付を終へて、私の出発当時に、試運輸をやる迄に運んで居ました。社長は監水港製糖会社の社益、荒井泰治氏が処務し、其外の重役も大抵両社を兼務して居りますので、云はば一つ会社のようなものです。会社の成立ちは御承知の通り、先年兄が尖閣列島などを視察した結果で、荒井社長と二人の話で出来上がったようなものです。肥料は台湾、尖閣列島及び南清辺から原料を取り寄せて、配合肥料と製造し、作物と風土、土壌の性質に依って夫々適当の肥料を作り上げて、台湾及び、御当地に供給する積りであるが、事業の着手に、何れ十一月頃に製品の見本を作って、広く公表してから本当の製造に掛かる筈です。原料の採集は、御承知の通り広運社の使って居る江陽人が私達の会社の所有船であるから、あの船を原料の採集に充てる考で、広運社とは其の積りでチャーターする事になって居ります。云々