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讀者倶樂部

掲載年月日:1911/7/8(土) 明治44年
メディア:琉球新報社 3面 種別:記事

原文表記

 讀者倶樂部
▲自由散歩を記す=火曜日曇空にて風なく涼み旁々友人四五名を伴ひ硝子製造所へ見物に赴かんとする所石門■にて或る知人に逢ひ其人の日製造所は暑さの爲か知されとも近頃は五六時になると度々停止し居る模樣だから駄目なりと語れども運動の爲なりとて眞教寺後を通り濱田造船所を通過し「バクチヤ」に上り四邊を静かに眺むれは嗚呼哀れなるかな三浦丸潮の満つるに際しては波にもまれ照れは照る程其儘に與所より見るも氣之毒なり况んや遭難父兄の思はさる人なし如斯不幸なる船体を港口に殘置するは那覇港の故障にも何幾かなると知るへし (中老生)

現代仮名遣い表記

 読者倶楽部
▲自由散歩を記す=火曜日曇空にて風なく涼み、旁々友人四五名を伴い硝子製造所へ見物に赴かんとする所、石門■にて或る知人に逢い其人の曰く製造所は暑さの為か知されども近頃は五六時になると度々停止し居る模様だから駄目なりと語れども、運動の為なりとて真教寺後を通り浜田造船所を通過し「バクチヤ」に上り、四辺を静かに眺むれば、嗚呼哀れなるかな三浦丸。潮の満つるに際しては波にもまれ照れば照る程そのままに与所より見るも気の毒なり。ましてや遭難父兄が思わない人ないでしょう。こうして不幸なる船体を港口に残置するは、那覇港の故障にもなるかと知るべし (中老生)