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◎名護より

掲載年月日:1910/10/16(日) 明治43年
メディア:琉球新報社 1面 種別:記事

原文表記

◎名護より   天南生
▲去る九日より刻々荒れ來り十日午前は少しく和ぎたるも夕■より再ひ荒れ出し十一日に至りては山岳もふるふかと思ふばかりの勢を呈し昨日風の方向反對に轉すると同時に風勢いよく猛烈と相成り午后よりは少しく減却し本日に至り漸く衰へたる■覺へ候
▲十一日より以來は電信も不通と相成り十日以來の新聞の未だに到着不致那覇の樣子薩張相わからず無聊に苦しみ居申候
▲今朝那覇警察署の飛脚來し三浦丸沈沒の報あるや同船に乗込みたる船客の家族何れも驚駭致し安否を知らんとすれども電信不通の爲詮方なく警察に來りたる報に依るも損害に就ては要領を得す只心痛致し居る始末にて候
▲農作物其他の損害に付ては何れ取調べ御報道可致候へども一般の見込にては甘蔗の如きも三割を下らざるべしと申居候以上 (十月十三日午后二時)

現代仮名遣い表記

◎名護より   天南生
▲去る九日より刻々荒れ来り、十日午前は少しく和ぎたるも夕■より再び荒れ出し、十一日に至りては山岳もふるうかと思うばかりの勢を呈し、昨日風の方向反対に転ずると同時に、風勢いよく猛烈と相成り。午後よりは少しく減却し、本日に至りようやく衰えたる■覚えます。
▲十一日より以来は電信も不通と相成り、十日以来の新聞の未だに到着に致らず。那覇の様子さっぱり相わからず無聊に苦しんでいます。
▲今朝、那覇警察署の飛脚来し三浦丸沈没の報あるや、同船に乗込みたる船客の家族何れも驚駭致し、安否を知らんとすれども電信不通の為詮方なく、警察に来りたる報に依るも損害に就ては要領を得ず、ただ心痛致し居る始末です。
▲農作物其他の損害に付ては何れ取調べ御報道いたしますが、一般の見込にては甘蔗の如きも三割を下らざるべしと申しています。以上 (十月十三日午後二時)