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●海外交易調査會(續)

掲載年月日:1900/1/21(土) 明治33年
メディア:琉球新報社 1面 種別:記事

原文表記

●海外交易調査會(續)
六輸出額及輸出時期 水產物ハ其年に依りて多少あり一定せす海參い冬より春ふ製せられ鯣い舊八九月より十月頃製す現今の輸出額左の如し
輸出海產物  自明治廿九年後半期 至仝參十二年前半期  參ヶ年間調査
品名   個 數    量    目   百斤ニ付替値  金 額
鯣  一四一九個  四五一、一一四斤  一五、〇〇〇円  六二、參二參、七〇〇円
海參  二七八個  五五、五四四斤   二五、〇〇〇円  一四、五參二、六五〇円
鱶鰭  二六四個  六七、七八四斤   參二、〇〇〇円  二〇、七四七、〇〇〇円
輸出の時期も一定せされとも盆正月多く使用するものなるを以て從て其頃は平常より取引多きが如し然し相塲の如何に依りて多少亦差あり
七 輸出后需用の狀况 古來本縣と支那と交通せし頃は本縣にて製志たるものは總て福州へ輸出せらしを以て支那各地方より福州へ注文あり福州は殆んと水產物の集散地なり志が然るに廢藩置縣後支那と交通せざるに至りしより大坂へ輸出し支那にても亦他方より需要するに至れりと云ふ右の如くなるを以て本縣は復直接交通するに至れは本縣の水產物は非常の有望なる事い信して疑はす
己前い福州に公司と稱し會社の如きものあり本縣より輸出せしものは此公司に依賴して販賣す公司い之れを入札とす又輸入品も等しく公司に買入方を依賴す而して公司は輸出品賣却金と差引して金錢の勘定をなしたるもの也
漆器
漆器い本縣特有物產の一なるを以て調査事項の一に加へ調査するに福州地方を視察せし比嘉氏の談に依れは支那に於ては本邦の如く漆器を家具の装飾に用ゆること少なく椅子の緣等を塗り又阿片臺と稱し巾凡そ二尺長さ一尺余厚さ一寸の臺にして其上に阿片煙管を置き横臥して喫するときに用ゆ己前福州と交通せしときは菓子皿木杯等僅少の輸入ありたり亦唐櫃は支那しかく輸入すれとも支那にてい之を使用せす全く本縣人の注文に依り特に製造するものなり如此漆器を使用する事少き故今后僅少輸出いあるべけれと有望のものにあらざべるべしと本縣漆器を輸出せし人の談に依れは彼地のものに比すれは其精巧なること彼の及ふべきものにあらす然れとも其價の廉なさらるを以て輸出に適せす故に今後輸出を計らんと欲せい第一價額の廉なるものを製出することは亦注意を要する事項なり
一 一ヶ年製造高  三万六千圓
一 職工総人數   三百五十名
一 重なる職工塲  八ヶ所

現代仮名遣い表記

●海外交易調査会(続)
六 輸出額及輸出時期 水産物は其年に依りて多少あり。一定せす、海参は冬より春に製せられ、鯣は旧八九月より、十月頃製す。現今の輸出額左の如し。
輸出海産物  自明治二十九年後半期 至同三十二年前半期  三ヶ年間調査
品名   個 数    量    目   百斤ニ付替値  金 額
鯣  一四一九個  四五一、一一四斤  一五、〇〇〇円  六二、三二三、七〇〇円
海参  二七八個   五五、五四四斤  二五、〇〇〇円  一四、五三二、六五〇円
鱶鰭  二六四個   六七、七八四斤  三二、〇〇〇円  二〇、七四七、〇〇〇円
輸出の時期も一定せされとも、盆正月多く使用するものなるを以て從て、其頃は平常より取引多きが如し。然し相場の如何に依りて、多少亦差あり。
七 輸出後需用の状況 古来本県と支那と交通せし頃は、本県にて製たるものは総て、福州へ輸出せらしを以て、支那各地方より福州へ注文あり。福州は殆んと水産物の集散地なりしが然るに、廃藩置県後支那と交通せざるに至りしより、大坂へ輸出し、支那にても亦他方より需要するに至れりと云う。右の如くなるを以て本県は、復直接交通するに至れは、本県の水産物は非常の有望なる事は信じて疑はす。
己前は、福州に公司と称し会社の如きものあり。本県より輸出せしものは此公司に依頼して販売す、公司は之れを入札とす。又輸入品も等しく、公司に買入方を依頼す、而して公司は輸出品売却金と差引して、金銭の勘定をなしたるもの也。
漆器
漆器は本県特有物産の一なるを以て、調査事項の一に加へ調査するに福州地方を視察せし。比嘉氏の談に依れは、支那に於ては本邦の如く、漆器を家具の装飾に用ゆること少なく。椅子の縁等を塗り又阿片台と称し、巾凡そ二尺長さ一尺余厚さ一寸の台にして、其上に阿片煙管を置き、横臥して喫するときに用ゆ巳前福州と交通せしときは、菓子皿木杯等僅少の輸入ありたり。亦唐櫃は支那より輸入すれとも、支那にては之を使用せす。全く本県人の注文に依り、特に製造するものなり。如此漆器を使用する事少き故、今後僅少輸出にあるべけれと、有望のものにあらざべるべしと、本県漆器を輸出せし人の談に依れは、彼地のものに比すれば、其精巧なること彼の及ぶべきものにあらす。然れとも其価の廉なさらるを以て、輸出に適せす故に、今後輸出を計らんと欲せい。第一価額の廉なるものを製出することは、亦注意を要する事項なり。
一 一ヶ年製造高  三万六千円
一 職工総人数   三百五十名
一 重なる職工場  八ヶ所