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●沖繩出獄者保護會々則
原文表記
●沖繩出獄者保護會々則
今回設立の沖繩保護會々則は左の如く定められたりと云ふ
第一條 本會を沖繩出獄者保護會と稱し其事務所及保護場を置く
第二條 本會は沖繩縣監獄署出獄者中頼るへき所なく又は歸郷するに旅費なき者を保護し将來營生自活又は歸郷するの途を得せしめ善良なる人民に復歸せしむるを以て目的とす
第三條 本會は沖繩縣放免囚保護會を繼承するものとす
第四條 本會々資は舊會の資金若干と收益金を以て之に充つ但江湖慈善者の喜捨金は之を嘉納して資金に入る
第五條 本會の會員は名譽會員特別會員常會員の三種とす
名譽會員は本會より推戴す
特別會員は一時金五圓以上を喜捨したるもの
常會員は金五拾錢以上を一時又は月賦を以て喜捨したるもの
第六條 本會に左の役員を置く
一會長 一名
一幹事 六名
一評議員 十五名
一書記 四名
一保護塲取締 二名(内一名は授業手を兼れす)
第七條 本會の役員は保護塲取締に相當の報酬を爲すの外總て無報酬とす
第八條 會長は會員中より選擧し二ヶ年毎に改撰するものとす伹前任者を再選するを妨けす評議員は發起人に於て互撰す其他は會員中より會長之を嘱托す
第九條 會長は本會の事務を統理す會長事故あるときハ幹事の年長者之を代理す
第十條 幹事ハ會長を補佐し本會に關する庶務を掌る
第十一條 書記は幹事の指揮を受け本會に關する金品の出納及日常の事務を處辨し毎年五月に於て收支精算事務の報告を爲すものとす伹出納に關する手續は別に定むる處に據る
第十二條 保護塲取締は會長幹事の指揮監督を受け被護者に生業の道を授け監督策勵して益々良心を感發するに力むへし
第十三條 本會の保護を請はんとするものハ放免十日前に於て附錄第一號式の願書を監獄署に差出すへし伹特赦假出獄者は即時其手續を爲すへし
第十四條 監獄署より保護を請ふ者ある旨通知を受けたるときは保護塲取締ハ先つ本人に面會して會則を遵守すへきことを確かめたる後第二號式の名簿を調製し第三號式の誓約書を徴し入塲許可の手續を爲すへし伹僅少の旅費にて歸郷し得らるへき者にハ入塲を要せす其旅費を貸與し或ハ惠與するに止むることあるへし
第十五條 被保護者には成るへく傭主を求むるの紹介を爲すを以て主とすると雖も差向に於て日出より日沒まて耕耘に就かしむ伹身体に故障有る者及雨天其他農間には技能に應し相當の業に就かしむ
第十六條 被保護者にハ体力技能を精査して市價相當の賃金を附與すと雖も食費其雜費を扣除す
第十七條 保護塲取締は被者を指揮して炊事を爲さしむ
第十八條 被保護者の携帶金及ひ日々得たる賃金は本會之を預り郵便貯金又は銀行預人等便宜確實の取扱を爲し解護の際之を還付す
第十九條 被保護者の携帯物品ハ取締に於て之を預り保管し日用品ハ各自に保管せしむへし
第二十条 在塲者の臥具其他就業に要する器械は貸與し衣服は自衣を着せしめ若し着用するものなきときは之を貸與する
第二十一條 附與金は被護者自活の道を立る基本金なるを以て本人疾病の際藥價又は必要欠くへからさる費用之外消費することを許さす
第二十二條 在塲者疾病に罹り危篤なるときは速に親属に通知し死亡したるときは本會に於て仮に埋葬し原籍市區役所町村間切役塲に通知すへし
第二十三條 毎月十五日を休業とし相當食物の購求を許す
第二十四條 在塲者の食物は一日二回は蕃藷と一汁一回は米麥五分の飯量に副菜とす
第二十五條 在塲期限は三ヶ年とし其期限内確實なる引取人あるか本人業務に精勵し自活に足るの資金を得たるものゝ外退塲するを許さす
第二十六條 在塲中業務に精勵し品行端正なる者には本會役員の决議を以て解護の祭賞金を附與することあるへし
第廿七條 被保護者疾病其他止を得さる事情より食費藥價等を支辨する能いさる者い総て
本會に於て補助す
第廿八條 被保護者にして本會の規則を遵守せす又は法律に觸るの所爲ある者は保護を解くと共に再び保護を與へす但情狀に依り詮議の上再び保護を加わるとあるへし
第廿九條 死亡者逃走者の遺留金品ハ確實なる親属に引渡し其親属なきものは之を本會に収入す
第三十一條 教誨は一週間二回以上施行し幼年者には出來得へき限り讀書習字算術等の講習を爲さしむ
第卅二條 會長は被護者の遵守すへき事項を定め塲内に掲示すへし
第卅三條 本則に規定なき事件の處分事の重要なるものは役員の評决を經て執行え其他は會長之を專行す
囚に記す沖繩出獄者保護會設立の首唱者は左の人々なり
姓名いろは順
伊是名朝睦 池口權四郞 岩田考慈 岩原祥山 橋口軍六 鉢嶺淸懷 德久龜市 豊見城盛和 富川盛睦 中馬辰次郞 中馬考吉 知花朝章 岡本岱嶺 大橋彥太 岡松眞彥 岡田文治 若林賚藏 蒲原水一 河野篤次郞 川邊政行 上田景二 吉野幸德 能山台岩 田中廣 田原法水 武石兵彌 田中千八 田尻敏夫 高嶺朝敎 園山實光 椿蓁一郞 津曲兼綜 奈良原繁 長友之善 永江德志 中宮秀松 野村道安 桑鶴彦二 山田談 内田輔松 前島淸三郞 松久東谷 譜久里宗業 藤井元壽 古賀辰四郞 近藤信介 鴻巣盛雄 小林茂 小谷野鉚作 小牧藤助 護得久朝惟 朝武士于城 安藤海玉 喜休入 木村吉房 三家重三郞 宮原景明 宮地良一 肥後孫左衛門 平尾喜八 守田正安
現代仮名遣い表記
●沖縄出獄者保護会々則
今回設立の沖縄保護会々則は左の如く定められたりと云う
第一条 本会を沖縄出獄者保護会と称し其事務所及保護場を置く
第二条 本会は沖縄県監獄署出獄者中頼るべき所なく又は帰郷するに旅費なき者を保護し、将来営生自活又は帰郷するの途を得せしめ、善良なる人民に復帰せしむるを以て目的とす
第三条 本会は沖縄県放免囚保護会を継承するものとす
第四条 本会々資は旧会の資金若干と収益金を以て之に充つ、但江湖慈善者の喜捨金は之を嘉納して資金に入る
第五条 本会の会員は名誉会員特別会員常会員の三種とす
名誉会員は本会より推戴す
特別会員は一時金五円以上を喜捨したるもの常会員は金五十銭以上を一時又は月賦を以て喜捨したるもの
第六条 本会に左の役員を置く
一会長 一名
一幹事 六名
一評議員 十五名
一書記 四名
一保護場取締 二名(内一名は授業手を兼れす)
第七条 本会の役員は保護場取締に相当の報酬を為すの外総て無報酬とす
第八条 会長は会員中より選挙し二ヶ年毎に改選するものとす、伹前任者を再選するを妨げす評議員は発起人に於て互選す、其他は会員中より会長之を嘱託す
第九条 会長は本会の事務を統理す、会長事故あるときは幹事の年長者之を代理す
第十条 幹事は会長を補佐し、本会に関する庶務を掌る
第十一条 書記は幹事の指揮を受け本会に関する金品の出納及日常の事務を処弁し、毎年五月に於て収支清算事務の報告を為すものとす。伹出納に関する手続き別に定むる処に拠る
第十二条 保護場取締は会長幹事に指揮監督を受け、被護者に生業の道を授け、監督策励して益々良心を感発するに力むべし
第十三条 本会の保護を請はんとするものは放免十日前に於て附録第一号式の願書を監獄署に差出すべし、伹特赦仮出獄者は即時其手続きを為すべし
第十四条 監獄署より保護を請う者ある旨通知を受けたるときは、保護場取締は先づ本人に面会して会則を遵守すべきことを確かめたる後、第二号式の名簿を調製し第三号式の誓約書を徴し、入場許可の手続き為すべし。伹僅少の旅費にて帰郷し得らるべき者には入場を要せず、其旅費を貸与し或は恵与するに止むることあるべし
第十五条 被保護者には成るべく傭主を求むるの紹介を為すを以て主とすると雖も、差向に於て日の出より日没まで耕耘に就かしむ。伹身体に故障有る者及雨天其他農間には技能に応じ相当の業に就かしむ
第十六条 被保護者には体力技能を精査して市価相当の賃金を附与すと雖も、食費其雑費を控除す
第十七条 保護場取締は被者を指揮して炊事を為さしむ
第十八条 被保護者の携帯金及び日々得たる賃金は本会之を預り、郵便貯金又は銀行預人等便宜確実の取扱を為し解護の際之を還付す
第十九条 被保護者の携帯物品は取締に於て之を預り保管し日用品い各自に保管せしむべし
第二十条 在場者の臥具其他就業に要する器機は貸与し衣服は自衣を着せしめ、若し着用するものなきときは之を貸与する
第二十一条 附与金は被護者自活の道を立る基本金なるを以て、本人疾病の際薬価又は必要欠くべからさる費用之外消費することを許さず
第二十二条 在場者疾病に罹り危篤なるときは速に親属に通知し、死亡したるときは本会に於て仮に埋葬し原籍市区役所町村間切役場に通知すべし
第二十三条 毎月十五日を休業とし相当食物の購求を許す
第二十四条 在場者の食物は一日二回は蕃藷と一汁一回は米麦五分の飯量に副菜とす
第二十五条 在場期限は三ヶ年とし其期限内確実なる引取人あるか本人業務に精励し、自活に足るの資金を得たるものの外退場するを許さず
第二十六条 在場中業務に精励し品行端正なる者には、本会役員の决議を以て解護の祭賞金を附与することあるべし
第二十七条 被保護者疾病其他止を得ざる事情より食費薬価等を支弁する能はざる者は総て本会に於て補助す
第二十八条 被保護者にして本会の規則を遵守せず又は法律に触るの所為ある者は、保護を解くと共に再び保護を与えず。但情状に依り詮論の上再び保護を加わることあるべし
第二十九条 死亡者逃走車の遺留金品は確実なる親属に引渡し、其親属なきものは之を本会に収入す
第三十条 監視ある被保護者の逃死亡其他身上の異動は総て警察署へ届出又は本人に之を為さしむべし
第三十一条 教誨は一週間二回以上施行し、幼年者には出来得べき限り読書習字算術等の講習を為さしむ
第三十二条 会長は被護者の遵守すべき事項を定め、場内に掲示すべし
第三十三条 本則に規定なき事件の処分事の重要なるものは役員の評决を経て執行し其他は会長之を專行す
囚に記す沖縄出獄者保護会設立の首唱者は左の人々なり
姓名いろは順
伊是名朝陸 池口權四郎 岩田孝慈 岩原祥山 橋口軍六 鉢嶺清懐 徳久亀市 豊見城盛和 富川盛陸 中馬辰次郎 中馬孝吉 知花朝章 岡本岱嶺 大橋彦太 岡松眞彦 岡田文治 若林賚藏 蒲原水一 河野篤次郎 川邊政行 上田景二 吉野幸徳 能山台岩 田中廣 田原法水 武石兵彌 田中千八 田尻俊夫 高嶺朝敎 園田實光 椿蓁一郎 津曲兼綜 奈良原繁 長友之善 永江徳志 中宮秀松 野村道安 桑鶴彦二 山田談 内田輔松 前島淸三郎 松久東谷 普久里宗業 藤井元壽 古賀辰四郎 近藤信介 鴻巣盛雄 小林茂 小谷野鉚作 小牧藤助 護得久朝惟 朝武士于城 安藤海玉 喜休入 木村吉房 三家重三郎 宮原景明 宮地良一 肥後孫左衛門 平尾喜八 守田正安